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(公社)千葉県柔道整復師会「令和7年度県民公開講演会」開催

トピック

2025年11月9日(日)、野田市欅のホールにおいて、公益社団法人千葉県柔道整復師会主催「令和7年度県民公開講演会」が開催され、柔道整復師のみならず地域住民の方々も多数来場した。

千葉県柔道整復師会「令和7年度県民公開講演会」

本講演会は(公社)千葉県柔道整復師会・池畑啓作副会長の開会の辞により開始。

池畑啓作副会長

同会・細谷吉隆会長は〝本日は足元の悪い中、当会の県民公開講演会にご来場いただきありがとうございます。千葉県内には千数百軒の接骨院・整骨院があり、その内当会会員の施術所が約400軒あります。我々は公益社団法人として地域のため、公開講演会をはじめ、千葉県や各市と災害協定を結び災害時には駆けつける体制を整えています。また、各種スポーツ大会でトレーナー活動を通して選手をサポートしています。我々は柔道整復師という国家資格を保有していますので、体の不調等がある際には、ぜひ当会会員の施術所にご来院ください〟と挨拶を述べた。

実はおしゃべり?沈黙の臓器・肝臓のつぶやきに耳を傾けよう

日本大学松戸歯学部附属病院 中山壽之氏

中山壽之氏

【要旨】

肝臓は右上腹部にあり、脳と共に人体最大の実質臓器であり、約1kg前後の重さがある。肝臓は『沈黙の臓器』と言われているが実はおしゃべりだというのが今日のテーマになる。

2025年大阪・関西万博は『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマにしており、命に関する展示がたくさんあった。世界一古い医学部はローマにあるボローニャ大学で、1088年に創立した。イタリアは生命科学に力を入れていた国といえる。万博のイタリアパビリオンでは、『復活したキリスト』というミケランジェロの銅像が飾られた。亡くなったキリストを信者や仲間たちが埋葬する『キリストの埋葬』という絵画も有名だが、こうした絵画を見た多くの人が「キリストは心臓を刺されて亡くなった」と思ってしまう。しかし実は、肝臓に槍を刺して血が出てこないか、本当に死んでいるかを確認している。ミケランジェロの像やキリストを描いた他の絵画でも、肝臓の部分に傷がある。

肝臓には番地がある。下大静脈と胆嚢を結ぶ線をCantlie線と呼び、それを境に右葉と左葉に分けられる。門脈という血管に沿って左右に分けられており、さらに細かく8区域に分けられる。これを名付けたのがフランスのクイノ先生だ。1954年、まだ日本が戦後でバタバタしている頃、ヨーロッパの大国、特にフランスは非常に医学に精力的に取り組み、肝臓外科・肝臓解剖について先進的な知見を発表していた。その中でクイノ先生は8つの番地があることを発見、発表した。

肝臓には栄養の代謝や貯蔵、解毒、胆汁の生成・分泌などの働きがある。また、肝臓の細胞で胆汁という消化液を作って分泌する。胆汁は胆嚢に貯蔵され、揚げ物などを食べると胆汁が排出されて消化する。アルコールも肝臓で分解・解毒される。厚生労働省は、日本人のアルコールの適量は1日に20gほどと発表している。日本酒なら1合、5%のビールならロング缶1本、7%の酎ハイなら1本程度。

肝臓が悪い人はお酒のせいと思いがちだが、実は肝炎ウイルスの方が悪い。日本人の肝硬変の割合として、C型肝炎が7割、B型肝炎が2割で、アルコールが原因であるのは5%程度とされている。日本では年間3万人が肝臓がんで亡くなっているが、C型肝炎やB型肝炎には良い薬ができて治るようになってきたことで、肝硬変の原因として急増しているのが脂肪肝だ。アルコール摂取量が少なくても脂肪肝や肝炎になることがあるとされている。お酒よりも肥満の方が原因になりやすい。脂肪肝は肝炎や肝硬変の入口になる。これをなんとか改善しなければならない。シジミは肝臓に良いという説もあるが、肝障害に有効であることを示すレベルの高い論文は見当たらない。1週間に1日飲酒をしない休肝日を作る患者さんも良くいるが、重要なのは飲酒の回数や頻度ではなくトータルの量であり、休肝日を作るよりも1回あたりのお酒の量を減らす方が有効だ。

よく時代劇などでは、突然おなかが痛くなった時に「癪の痛みだろう」ということで芍薬甘草湯を飲ませるとたちどころに痛みが引く場面がある。これはほとんどの医師が胆嚢結石だろうと言うが、もしかしたら暴飲暴食をしているから脂肪肝があり、胆汁の訴えが起きているのかもしれない。また、熊の胆(クマノイ)という薬を飲ませる場面もよくある。これは熊の胆嚢を乾燥させたもので、ウルソ酸という薬と成分はよく似ているが胆汁の流れを良くするものであり胆石を消すものではない。したがって既に胆石がある人にはなかなか効かない。

健康診断で気をつける数値として、ALT(肝臓の機能を表す検査値)が30を超えると肝硬変や肝臓がんに移行する恐れがある。また、BMI値が25を超えている場合も要注意となる。肝臓学会で奈良宣言2023というものが出され、BMI値が25、ALTが30を超えたら病院を受診するよう促している。これらに気がついたら、肝臓専門医かつ全身管理に詳しい医師に相談することが大切。接骨院にかかる方には、急性の腰痛や肩痛を訴える方も多いと思うが、肥満が原因で転んだりぶつけたりして受傷する方もいると思う。膝が痛い、腰が痛いという方は一度健康診断でALTを測定してみるのもいいかもしれない。


髙木浩一副会長

最後に、同会・髙木浩一副会長が〝本日は貴重なご講演ありがとうございました。肝臓に関して本当に詳しくご講演いただきました。皆様、今日はいかがだったでしょうか。ALT30というキーワードは皆様覚えていただけたと思いますので、どうぞお帰りになりましたら、ご家族の方そしてご友人の方々にこのお話を伝えていただければと思います〟と閉会の辞を述べ、終了となった。

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