『第35回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会』が開催
2026年4月30日(金)、全国都市会館(東京都千代田区)にて『第35回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会』が開催された。

- 委員名簿
委員名簿 - 柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)について
柔-1 柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)について
柔-2 いわゆる「部位転がし」に関する調査について
今回は「柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)について」を議題とし、厚生労働省より出された改定案に対し、各委員より意見が述べられた。
令和8年度料金改定(案)
基本的な考え方
初検・再検や施術といった、柔道整復師の基本となる行為に対する体系的な評価を進めるとともに、施術者と患者の情報共有を促進するため、明細書の発行を推進するための措置を講ずる。あわせて、現下の物価高騰に対応する等の観点から、所要の料金項目を引き上げる。
柔整療養費の改定率
+0.60%
(令和8年度診療報酬改定における医科の改定率+0.28%及び経済・物価動向等を踏まえ、政府において決定)
改定(案)の詳細
1.初検料、再検料の在り方の見直し
- 初検料の引上げ及び算定ルールの見直し
- 初検料について、10円引き上げ、「1回当たり1,560円」に改定するとともに、患者の特性等を初めて見極めるという行為を中心に評価しているものであり、施術に係る料金については別途算定できることを踏まえ、他部位での施術を含め施術継続中である場合や、施術の終了又は中止後3月(歴月)が経過していない場合には算定できないこととする。
- この場合において、施術の終了又は中止後1月(歴月)以上3月(歴月)以内において行われた施術については、再検料を算定できることとする。
- 再検料の算定回数の拡大
- 再検料について、10円引き上げ、「1回当たり420円」に改定するとともに、継続的な見立てを評価する観点から、上記により再検料を算定する場合も含め、連続する2回の施術について算定できることとする。
- その他の規定の整理
- 初検料のみを算定し、他の療養費の施術の請求や自費施術を行うことは認めないこととする等、初検料の算定に関する規定を整理する。
2.施術に関する料金及び算定ルールの見直し
- 施療料の引上げ
- 施療料(打撲及び捻挫に対する初回の施術)について、10円引き上げ、「1回当たり770円」に改定する。
- 後療料等の引上げ及び2部位目の施術に係る逓減の導入
- 後療料(打撲及び捻挫)について、大幅に引き上げ(45円)、「1回当たり550円」に改定するとともに、一連の施術として評価を行う観点から、3部位目の60%逓減に加え、2部位目の施術について80%の逓減を行う体系とする。(温罨法料等を含む)
3.温罨法料、冷罨法料及び電療料の見直し
- 温罨法料及び冷罨法料の見直し
- 温罨法料の料金を5円引き上げ「1回当たり80円」に改定する一方、冷罨法料の料金を5円引き下げ「1回当たり80円」に改定し、料金を同一とする。
- 電療料の引上げ
- 電療料について、温罨法料等との料金格差を縮減する観点から、前回改定を上回る形で料金を引き上げ(13円)、「1回当たり46円」に改定する。
温罨法料、冷罨法料及び電療料についても、2部位目について逓減を行う。
4.明細書発行の推進等
明細書について、施術の透明化や患者への情報提供の観点から、以下のとおり見直しを行う。
- 明細書発行体制加算の見直し
- 明細書発行体制加算について、名称を「明細書発行加算」に見直し、明細書を発行した場合には「1回当たり10円」の加算が算定できる取扱いとする。
- 明細書は患者から一部負担金等の費用の支払いを受けるごとに交付することを原則とするが、患者の求めに応じて1か月単位でまとめて交付することも引き続き認められることとする。この場合において、患者の求めを起点としていることを確認するための措置を講じる。
- 明細書への負傷名又は施術部位の記載の追加
- 明細書に負傷名又は施術した部位を記載する欄を設ける等、様式の整備を行う。
- その他
- 保険者による被保険者等への照会(いわゆる「患者照会」)について、明細書の発行推進・様式の見直しに併せ、その手法について所要の整備を行う。
5.その他のルールの見直し
- 自己施術・自家施術について
- 自己施術、自家施術については、療養費の支給対象外であることを明確化する。
- 患者ごとの償還払いへの変更が認められる事例の見直し等
- ①に伴い、患者ごとの償還払いへの変更が認められる事例について、自己施術、自家施術を除外する。
- 異なる負傷の同時又は断続的な発生により、結果として施術期間が長く施術部位数が多い患者について追加する。具体的には、直近1年間に通算8か月以上かつ通算9部位以上の施術を受けている患者を対象とする。あわせて、当該項目を柔整審査委員会における重点審査項目に位置づける。
- 患者ごとの償還払いへの変更手続きについて、その一部を迅速に行えるよう規定を整理する。
- 償還払いに変更された患者が受領委任払いを再開する際の手続きについても整理を行う。
6.引き続きの検討事項
- 令和8年度料金改定における見直しにより、施術の態様がどのように変化するかについて動向を把握しつつ、今後の改定においても体系的な評価を行うよう検討する。その際、たとえば以下の事項について、引き続き検討するとともに必要な対応を実施することとする。
- 2部位も含めた複数部位の施術、特に、請求のほとんどが2部位以上であるような施術所における施術について、調査方法等を検討した上で、実態を把握する。また、近接部位の算定方法について、算定可能な場合、算定できない場合等の例示の内容等を含め、見直しを行うことについて検討する。
- 温罨法料、冷罨法料及び電療料について、その算定期間を見直すためにはエビデンスが必要とされていることから、引き続き議論を行う。また、施術部位とこれら項目の算定状況との関係について、調査方法等を検討した上で、実態を把握する。
- 患者の求めに応じて1か月単位で明細書を発行している事例について、患者にも自らが受けた施術の内容について、都度理解してもらうことの重要性の観点から、引き続きその在り方について検討する。
- 患者ごとの償還払いへの変更の対象に追加された直近1年間に通算8か月以上かつ通算9部位以上の施術を受けている患者という基準の在り方について、今後の動向や患者の状態に応じた必要な施術の確保といった観点も踏まえつつ検討する。
- 費用逓減及び患者ごとの償還払いへの変更の対象となる「長期かつ頻回な施術」の基準の在り方について検討する。
- 施術管理者の要件となる実務経験の期間が現在3年とされていることについて、資質を担保するために必要な具体的業務等の在り方やあわせて求められている研修の内容の充実を図ることにより短縮することについて検討する。
- 今回の改定を含めこれまで行われてきた明細書発行の推進や、患者ごとの償還払いへの変更が認められる事例の見直し等の適正化に係る対応による状況の変化、今後の改定における対応を踏まえつつ、必要に応じ保険者単位の償還払いへの変更について検討を行う。
主な意見
- 部位転がしと思われる請求を行う柔道整復師がいることにより真面目に取り組む施術者も疑われることがあってはあならない。今回示された改定案は疑義のある施術所は排除していくという方向性が示されたものと理解している。また、1施術所でほとんどが2部位の請求になっている事例など、審査会で審査を行う中で明らかに不自然な場合があるとこれまでも申し上げてきた。2部位の80%逓減案が示されているが、後療料は引き上げるなど1部位目をしっかり評価しようとする厚生労働省の考え方が示されている。この考え方を基本として引き続き料金改定について議論されることを期待する。
- 初検料、後療料、電療等、様々な項目において一定の引き上げを検討いただき、また再検の重要性も理解してくださっていることにも感謝している。しかし療養費の支給額は年々減少しており、改定率の多寡のみで判断できるものではないと考える。特に2部位目逓減は不適切事例の抑制にどれだけ効果を発揮したのかを調査し、次回改定の検討項目としていただきたい。
- 今回のプラス改定にもかかわらず療養費支給額がマイナス成長となるようであれば、次回料金改定にてこれまでの減額や逓減について再検討することを要望する。
- 柔道整復制度を守るために、物価高騰への対応は必要と理解しているが、同時に適正化にも取り組まなければならない。書面上は整合性が取れていても実は水増し請求をしているなどの情報提供が増えているおり、被保険者にアンケートをとることもあるが、特に後期高齢者は記憶の面で回答が難しい。その中で明細書の発行や自家施術のルールの見直しなどは前向きに捉えている。特に明細書はどんな施術を受けたかが明確になるものなのでぜひお願いしたい。
- 効果的な不正対策は施術者にとっても重要だが、不正対策で3部位目逓減、それでも不正が減らないから2部位目逓減というのは、柔整療養費の抑制であり不正対策にはならない。
- また「自己施術、自家施術については療養費の支給対象外であることを明確化する」との項目があるが、自家施術は即時支給対象外とすることは反対する。現行通りの扱いとし、保険者の裁量の中で不支給決定あるいは償還払いへ変更することには反対しない。
- 自己施術、自家施術は全くないとは言えないが、療養費の請求はしていない。常識の問題と認識している。
- 柔整審査会を活用している健保組合が極めて少ない。積極的に活用していただきたい。
- 自家施術は施術を行うこと自体は反対しないが、公的保険を使うことについてはルールというより資質の問題。施術の在り方として適切なのか考えていただきたい。また審査会への健保組合の参加については費用対効果が薄いことが要因。不支給も出さず審査も甘いと感じる。オンライン請求が始まる機会に、審査会の体制を抜本的に見直すべき。
- プラス改定によって真面目な施術者が安定的に収入を得られることは重要。懸念は真面目にやっていない施術者が、料金の引き上げによって必要性のない施療を行うこと。このような時こそ不正対策を行うべき。部位転がしは最大の不正の原因であり、その抑制には制度的対応が必要。次回改定では制度的な改定を含めて検討していただきたい。また保険者単位で償還払いへの変更についても、実効性を診ながらいつか必ず実行したい。
- 物価高騰による料金アップはやむを得ない。今後の動向を把握していく必要がある。そのためにも施術所の実態把握が極めて重要。昨年行われた実態調査は施術所からの回答率が低く十分とは言えない。施術所が協力しやすい回答形式とするなど調査方法の工夫も必要。
- 施術管理者の要件について、実務経験3年と定められているが、その期間内の到達目標が定められていないため明確化が不可欠。何をどこまで到達させるかを検討・整理することが重要。今後、施術管理者の資質向上のための案を提示したい。
- 明細書発行により施術の透明性が担保される。負傷部位記載も可能になる改定案に感謝している。明細書発行にあわせて、患者照会の在り方も整理していただきたい。
最後に、座長より〝柔道整復療養費の令和8年度料金改定案についてお計りをしたい。療養費改定は、診療報酬改定に倣って改定率を政府で決定する。この専門委員会は、できる限り関係者の意見調整を行って、一致点を多く見出す場として位置づけられている。本日は要望や異議に近いご意見が出された。療養費改定の最終的な権限は厚生労働省にあるが、本日の議論を踏まえ、必要に応じて懸念のある委員と引き続きご相談等いただき、療養費改定の決定を進めていただきたい。それを前提としたうえで、柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)の取り扱いについて、座長に一任ということで了承いただけるか〟との問いかけがあった。委員からは賛意が示され、これにより厚生労働省と各委員で調整のうえ、療養費改定が進められることとなった。
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