☆古今東西 柔整のキーパーソンたち No.2『柔整業界の衰退を食い止めるには、視野をもっともっと広げる必要があります!』

㈱Eight Lab
代表取締役 高山 耕輔 氏
近年、業界内外から脚光を浴び続けている㈱Eight Lab代表取締役の高山耕輔氏。高山氏が考える柔整の未来とはいったい何なのか?!柔整の施術内容をもっと国民に知らしめ、国民に恩恵があるようにとの願いを込めて柔整業界を変えていく力を持ち、先見の明ある高山耕輔氏にその考えをお聞きした。
―高山代表は今の柔整業界の状況をどのように捉えていらっしゃいますか?
僕は、業界の未来自体は明るいと思っています。その理由は、柔道整復師が出来る柔道整復術という技術の幅が広いので、今言われている療養費の型にはまらなければ、明るいと思います。でも型にはまってしまうと全然明るくない訳です。そこの視野が広げられるかどうか?それ次第だと思っております。つまり、其処がやれるのであれば明るいし、やれないのであれば暗いと思っています。療養費だけを見ている人は、とにかく暗いです。やはり、もう世代交代をしないとダメだと思います。最近設立された〇〇という会も殆どの先生が高齢の柔道整復師の先生ですし、そういう会に30代、40代が居ない時点で僕はダメだろうと思っています。そもそも僕らをそこの場に呼んでいないのが問題だと思っていますし、上の人たちが考えても昔の考えで凝り固まってしまっているので、結局療養費をどうしようという頭しか無い。ここを如何に拡げるかという頭しかない訳です。しかしながら、もっと柔道整復術という原点に立ち返ってやれることは沢山あるんです。僕らはそういう考えで企業に参入していますし、保険者とも協力して、保険者から予算を別枠でもらって施術やセミナーをしたりしています。つまり、療養費の範囲内ではなくても出来ることっていっぱいあるんです。療養費が、どんどん縮小していくのは、これはもう目に見えているのです。今は、2500億くらいかもしれないけれども、これが前みたいに5000億近くになるというのは絶対に考えられない。そこの未来だけでいうとめちゃくちゃ暗いんです。暗いと思っている人は引退してくださいっていう感じです(笑)。
―療養費に拘る理由の一つは、国民のためにという考えが根底にあるからだと思いますが?
療養費を適正に扱えば大切だと思っていますし、それは残されるべきだと思っています。ただし、今まで適正に扱ってこなかったから、今こうなっているので、自業自得だと思っています。でも患者さんからすると、怪我した時に安価で接骨院に通えるように保険が効くというのは、良いことだと思っています。とは言っても、肩こりとかの人が、2,3年長期に亘ってずっと部位転がしとかで通っている等は、これはもう明らかに良くないことです。まあそういった整骨院が今普通に淘汰されているだけなので、普通の方向に戻っているだけなんです。つまり、苦しくなった訳ではなく、以前豊かな時に滅茶苦茶やっていた人たちが苦しくなってきているんです。
―整形外科では診断だけをして、理学療法士さんもいるけどちゃんと治してくれないから患者さんは接骨院に来られているのだと思っておりますが?
怪我というところであればそうなんです。とはいえ僕の経験上8割くらいは慢性痛で来られているので、そこに肩関節捻挫とか頸部捻挫という病名をつけて保険請求している訳なので、それを厳密に言えば保険請求の適用内なのかというと、適用外だと思います。しかしながら、その慢性痛の人が整形外科に行ったら、何もしてくれないから接骨院に行くというのは理解できます。まあ、でも国が定めているルールの範囲内でそれは認められていないので、それはもう柔整師が良いように大きく解釈しているだけだと思っています。
―「THERAPIST EXPO2026」の感想を聞かせてください。来年も開催されると思いますが、セラピストキャンプの趣旨及び目的、そのテーマ等もお聞かせください。
僕らは、専門学生向けに就活においてミスマッチがないようにやってほしいなと思っています。もう1つは、業界の成り手を増やさないといけないという思いで行っております。
今回高校生が100名以上来ていたので、もう大盛況でした。やっぱり業界を知ってもらわないと、成り手が増えないので僕らはそういうのを一大イベントとしてやらせてもらっています。2年前くらいから始めて、去年は代々木体育館で開催しました。その時に、杏文学園の高山副校長が学生を動員してくださいました。
もっと大きい視野で柔道整復師を見たら、絶対未来は明るいんです。確かに人口は減少していますけれども、怪我人は減っている訳ではありませんから。しかも海外に視野を向けると、柔道整復術というのは絶対海外で活躍できると思うんです。だからそういうもっと大きい視野で捉えると良い。専門学校の先生達もそんなに経験は無いと思いますし、ビジネスの経験もあまり無いので、どうしても基本的にネガティブです。海外からお客さんが来られて居りますし、海外で活躍している仲間とかも周りに居ます。
―接骨院経営が上手くいかない柔道整復師、廃業される方も増えているとお聞きします。対策などありましたら教えてください。
繰り返しになりますが、療養費にこだわらないことじゃないでしょうか。療養費にこだわってしまうと、まあギリギリ食べられるとは思いますが、なにしろ店舗が多いので単純計算をしても食べられないと思います。普通に療養費、約2500億円位だとして、柔道整復師が約7万人いるので、1名あたりで割ると月で約35万円。今後、療養費が下がる、資格持ちが増えることを考えるとそれで食べていけるかというと、当然食べていけない。従って其処の範囲だけでやろうとすると食っていけないんです。療養費の範囲は2500億位ですが、その範囲を出てしまえば業界全体の市場というのは1兆円位あるので、もっと違うところに視野を向ければ、その規模はもっと大きくなるんです。2500億にこだわってみんなで取り合っているから食べられなくなる。そこにこだわっている以上、若い人も同様に食えなくなると思います。
―若い柔道整復師の先生はまだ技術も未熟だから開業しても上手くいかないのでしょうか?
正直、技術・知識だけ勉強しても上手くは絶対いかないんですよ。やっぱりコミュニケーション能力がもう圧倒的に重要です。コミュニケーション能力が無い人の整骨院は流行らないんです。
―職域の拡大についてはどのように思いますか?既にやられていることがあれば教えてください。
僕らが企業向けに行っていることは、職域の拡大だと思っています。困っている人に整骨院へ来てもらうのではなく、直接その方の所に行くというのも一つです。あとは保険者と最近一緒に行っているのはロコモチェックだとか、そういった運動機能の低下みたいなところ、今はもう既に高齢化社会ですけれども、まだ増えていくので、70代でも80代でも元気に働かなければならない。ということは足腰がしっかりしていなければいけないので、そういうところに関われるような、やはり筋骨格系に強いのは何と言っても柔道整復師だと思いますので、そういうところに思いっきり参入していくことが大事です。もう1つは、もっとリラクゼーションとか整体に関するところを自信を持って国とやり取りをして、そういう看板を掲げられるようにしていくことが大事であると考えています。そのためには、今の広告規制を取り払う。ただし、無資格者は施術したらダメというぐらいの法律を作るのも1つです。そういったことは、政治との繋がりでやっていくと一気に拡がるので、其処までやったほうが良いですね。こちらから取りに行くことです。
もう1つは、地域に外傷専門の整骨院は1店舗で良いと思っています。5千店舗も要りません。5百店舗くらいが丁度良いのではないでしょうか。外傷が強い整骨院が地域に1店舗あるというのが良い。そうでなければ、他の所は残れません。
―地域医療のハブになるというのはどういうことでしょうか?
武見先生達との対談でそういうことを言ったような気もします(笑)。絶対にそうなるべきだなと思っていて、でもそうなるにはやはり医師会も含めて地域のドクターと密接な関係が無いといけないし、ドクターに認められるための知識・技術がないといけないと思っています。怪我をしたとか、なんとなく調子が悪いという時に整骨院に来る人が多いので、ちゃんと其処で判断が出来て、専門の病院に送るみたいなことが出来ると、もっと救える人が増えるんじゃないかと思っています。
―2040年まで高齢者が増え続けると言われております。健康寿命の延伸についてはどのようにお考えですか?
運動・食事・睡眠に拘る、其処しかないですよね(笑)。
―柔道整復師の方は地域貢献活動をされていらっしゃいますが、高山代表の㈱Eight Lab傘下の先生も同じように地域貢献をされていらっしゃいますか?
僕は接骨院をやっていないので。地域貢献については、よく分かりません。セミナーとかを対面でやったりとか、基本的に僕らはオンラインで行っていたので、今まで接点が沢山あるかというと少ないです。でも今また、オフラインの波が来ているので、やはり人との繋がりが求められていると思います。AIが急速に発達してきましたが、人との繋がりってAIでは換えられないところなので、ここから又加速するのではないでしょうか。それがあるからこそ、体験とか直接会えるという価値が高まってくると思いますし、そうなると接骨院は強いと思うんですよ。必ずその波は来ると思います。
―Careforでは企業に派遣されているとお聞きしました。その業務の内容について教えてください。
僕が施術をしに行くこともあります。働いている方達の肩こり、腰痛もそうですし、また不眠とか自律神経系、仕事の時の不調って7割から8割くらいの方が抱えているんです。そういう所に僕らが行くとみんなやってほしいので、もうずっと予約がパンパンです。報酬は、企業から時間単価で頂いています。会社によっては一部負担というところもあります。累計でいうと300社を超えています。コロナとかもあったので、そこから継続している面も当然ありますが、全国各地にスタッフが大勢居ります。
―AIの進展により、柔整業界は何か変化していく可能性はありますか?
まずは顧客側からするとAIが発達すると今後は絶対暇な時間が増えるので、体に向き合う時間が増えてきます。そうなると人間は、より長生きになっていくんです。そうなった時、絶対に体に向き合わないといけないので、そういうサービスがまた見直されることになります。もう既に海外では、ウエルネス産業って、市場自体は凄い伸びていて、これは絶対日本にも来るので、まああとここ数年位で日本のウエルネス産業は確実に伸びます。そういう意味では凄く明るいと思います。但し、この時に保険適用だけに拘っていると、其処から外されてしまうので、これまでとはもっと違った大きい視野で見るべきです。これは集客面とか顧客側の目線です。
逆に柔道整復師側からすると、真っ当にやっていなかった人は悪いかもしれません。レセプト等ももうAIの審査で簡単に出来ますから、不正請求だったり部位転がしだったり、水増しというのは、一発で分かるので、そういう所は淘汰されていくことになります。ある意味これは良い方向です。他にもこういった作業は、全部AIがある程度やってくれるようになるので、出来る人と出来ない人との差が凄く分かれてしまう。使えている人はより効率化でより仕事が出来るようになりますが、使えない人はどんどん取り残されていくので、多分二極化になるのではないかと思っています。
―柔整の未来をどのように想像されていらっしゃいますか?
さっきちょっとお話したように、僕は基本明るいと思っています。つまり、療養費に拘らないところで勝負していくことです。柔道整復術というものを凄く大きな解釈の下であれば、もっと職域の拡大が可能なので、これを拡げていけば絶対明るいと思っています。ここの議論が出来ると良いと思うんですが、柔整業界の上の先生たちが言っている“療養費をどうするか”というところだけにフォーカスすると、其処はもう100%衰退していくことになると思っております。
高山 耕輔 氏 プロフィール
1986年、福岡県生まれ。福岡柔道整復専門学校卒業。福岡で接骨院に6年間勤務。27歳で自費の整体院の立ち上げに誘われて東京に進出。個人で整体院を運営。2019年に ㈱Eight Labを立ち上げる。
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