「柔道整復師の将来像」資料提出に寄せられたご意見
この度、長野県の牛山正実先生から貴重なご意見をお寄せいただきましたので掲載いたします。様々なご意見があると思いますので、編集部までお寄せください。
長尾会長の柔道整復師の将来像とする高市総理面談資料
上記資料に記載された「運動器機能を支える地域健康インフラへ」・「日本の構造的課題に対し、柔道整復師は「外傷施術」から「運動機能の維持・回復」を通じた地域住民の生活機能と社会参加を支える役割へ」について、私見を述べてみます。
高市総理面談資料では、将来像として「外傷施術」に加え「運動機能の維持・回復」、あるいは「健康インフラ」としていますので、医療行為ではない方法で達成するという意味にとれます。
柔道整復師は、柔道整復行為が医療行為であることを、外部に説明できなかったことで、国や保険者から医療分野から徐々に締め出され始めた、私はそのように感じています。
締め出されようとしていることで“健康分野に業態を変えれば、生き残れるんじゃないか!”と考えたのでしょうか。
私の認識として柔道整復師は、少なくとも現在まで「運動器機能」や「運動機能の維持・回復」という分野は外傷を含めた、いわゆる疾患への治療、つまり「健康インフラ」ではなく「医療インフラ」の一角として貢献して来たものであり、問題は、業態を変えろと言う話ではない、と考えています。
現在、柔道整復が存続している理由は、現実に取り扱っている様々な疾患への治療が、患者からの支持を得て(一部では他の医療機関に比べて集団として高い能力を持って)おり、日本社会の中で医療行為として役立って来たから、であって、そこの疾患への治療が柔道整復の強みであり、その分野の医学的、臨床的能力を発展させ伸ばすことに取り込むことで、社会に貢献していくことが先決だと、私は思っています。
そもそも柔道整復業務は、制度的、政策的な問題はあっても、現実の柔道整復行為に対し医学的に否定はされていないと、私は認識し、そこが将来に繋がると思っています。
「外傷施術」も意味不明な言葉表現であり、いずれにしても施術と治療の違いを含め、ガイドラインを示すべきで、このままでは徐々に自滅していく、そんな感覚に襲われます。
再確認として、柔道整復は「疾患」を「治す行為(治療)」によって「運動機能の維持・回復」を行う「医療インフラ」の一角を担い効果を出し存続し、保険診療として扱われて来た、と私は認識しています。
【参考資料】なぜ、コダックは経営破綻し、富士フイルムは生き残ったのか(ネット記事参照)
かつて、写真フィルムは巨大市場でしたがデジタル化により市場は急速に消滅しました。
普通であれば、主力事業の崩壊=企業の衰退であり、実際、コダックは、デジタル化への対応が遅れ、2012年に経営破綻しています。
一方で、富士フイルムは、フィルム事業で培った“自社の強み”を軸に、フィルム以外の事業へ再構築を図ったことで生き残り、むしろ成長しています。
富士フイルムとコダックなぜ差がついたのか、また柔道整復は!
富士フィルム
何をやったのか → 主力事業が入れ替わった
富士フイルムは、フィルムをやめたわけではなく、フィルムの中にある技術を分解(化学技術・ナノ分散技術・コーティング技術)し、それを別の市場(医療・半導体材料・化粧品)に応用した
柔道整復業界
- 柔道整復は、主力業務が骨折・脱臼から既に他の疾患に入れ替わっている
- 入れ替わった現実の取扱疾患に対するニーズは高く、更に他の業務分野に変更させる必要性はない
企業の競争優位の源泉は、以下の3つで構成され、富士フイルムやコダックは、すべての条件を満たしていた
- 顧客価値 (顧客に大きな価値をもたらす能力)
化学技術 → 高機能材料や医療へ応用 - 模倣困難性(他社が簡単に真似できない専門性)
ナノ技術 → 高度で再現が難しい - 市場展開力(複数の市場に応用できる能力)
コーティング技術 → 複数市場に展開
柔道整復の優位性
- 患者に価値をもたらす能力や技術が不確定ながらある
- 技術力が高いとは言えないが、他業種と比較すると、ある種の専門性が有る集団
- 柔道整復技術は、既に現実の疾患に応用し不確定ながら成果を出し患者支持を得ている
なぜ差がついたのかは、以下の違いが、全てです
- コダック は「フィルムの会社」と定義し続けた
- 富士フイルムは「技術の会社」と再定義した
業界は業務分野が入れ替わっているにもかかわらず「骨折脱臼打撲捻挫挫傷」あるいは「外傷」と定義し続け、変更していない
変革に重要なことは「何の会社か」を疑うこと
- 自社の強みは何か
- それは他の市場でも使えるか
- 事業に縛られていないか
業界は、主力業務が他疾患に変わって来たにも関わらず、その認識が欠如し、根拠不明な定義や制限に縛られ、第三者への説明責任が果たせず、徐々に現実から離されている
結論
富士フイルムは・強みを分解し・市場を変え・事業を作り替えたから生き残った
健康分野の事業に、ニーズと強みを生かせるか不明
柔道整復の現状は、富士フイルムとは違い、既に主力事業が入れ替わっており、しかも新たな分野でのニーズは大きい。但し「定義変更」が残されており、現実の業務内容や歴史的経緯を分析し検証する必要がある。
社会は常に変化し対応できない企業や組織は衰退し、やがて消滅していく。一方これまで培ってきた知識や技術を活かしながら新たな価値を創出し、時代の要請に応じて変革を続けることで発展している企業や組織も少ない。
柔道整復へのニーズは体感していると思うが、定義変更できる知識と能力が業務内容の向上と、第三者に説明責任を果たすことに繋がり、未来が開ける。出来なければコダックの二の舞を踏むことになる。
PR
PR