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(公社)日本柔道整復師会社団法人設立65周年記念式典および柔道整復術公認100周年記念祝賀会が開催<前編>

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平成31年3月7日(木)、パレスホテル東京(東京都千代田区)において『公益社団法人日本柔道整復師会社団法人設立65周年記念式典および柔道整復術公認100周年記念祝賀会』が華々しく開催された。

(公社)日本柔道整復師会社団法人設立65周年記念式典

当日は、社団法人設立65周年記念式典、柔道整復術公認100周年記念祝賀会に加え、厚生労働省医政局・吉田学局長による特別記念講演も行われた。

社団法人設立65周年記念式典

式辞として、公益社団法人日本柔道整復師会・工藤鉄男会長は〝我々が業とする柔道整復は、明治18年に行なわれた伝統的療法の規制により医師でなければ接骨業を開業することができなくなった。一度は絶えかけた柔道整復術の復活を願い、大正2年には「柔道接骨術公認期成会」が立ち上げられた。接骨術営業を政府に認めさせる活動が実を結び、大正9年に接骨術は柔道整復術として公認され復活を遂げた。100年の時を経た今、柔道整復術は日本が認めた資格であり国民の医療として貢献し認知され、地域に密着した医療の一端を担う接骨院・整骨院として定着している。これから100年先も国民の皆様に求められる業であるためには、柔道整復師の質の向上と人格の陶冶が重要となる。社会から信頼される業界であり続けるために、制度と教育の改革を断行した。また古来より脈々と受け継がれてきた柔道整復術を後世に伝えていくために「匠の技伝承プロジェクト」を本年度から開始する。安心・安全な柔道整復術の提供を目指し、これまで以上に社会から信頼される業界を確立していきたい〟と先達の歩んできた歴史に敬意を表したうえで、更なる業界発展のために取り組んでいく姿勢を見せた。

また、厚生労働省・鈴木康裕医務技監より同省・根本匠大臣からの祝辞が代読され、〝(公社)日本柔道整復師会は設立以来、柔道整復術の進展・発展と柔道整復師の資質向上に努められ、国民の健康維持に大きく貢献されてきた。高齢化が進む中、柔道整復の重要性は増しており、柔道整復師の果たす役割や国民の期待はますます大きくなるものと思われる。このような状況の中で、(公社)日本柔道整復師会が柔道整復師の資質向上のために積極的に取り組まれていることを大変心強く思う。さらに療養費制度をめぐる様々な問題については厚生労働省専門委員会にて議論され、柔整審査会の権限強化や施術管理者の要件強化等が行われた。これらの取り組みにより適正な保険請求が推進される仕組みが構築され、国民がこれまで以上に安心して施術を受けられる制度になることを期待している〟とした。

(公社)日本柔道整復師会社団法人設立65周年記念式典

続いて、厚生労働大臣表彰(柔道整復業務功労者)、厚生労働大臣表彰(労災補償行政関係功労者)、日整会長表彰、日整会長感謝状受賞、永年業務精励会員表彰の表彰式が行われ、数多くの会員が受賞した。各代表者から述べられた謝辞からは、受賞の喜びとともに業界発展のため、地域住民のためにより一層の研鑽に努めようという想いが感じられた。

【特別記念講演】
少子高齢社会と社会保障 ~2025年と2040年~

厚生労働省医政局長・吉田学氏

吉田氏は〝以前は厚生労働省の中でも「介護」と「医療」の分野は線引きされていたが、それがあまりにも過度だと縦割り、お役所仕事となってしまう。何とか改善したいということで厚生労働省に医療・介護を連携するポストを作り、その初代審議官として担当していた。今回は柔道整復に限らず、医療分野で今何が起こっているのか、課題になっているのかについて共有させていただき、次なる65周年、100周年を歩む参考にしていただきたい〟とし、医療政策の主な課題として、地域医療構想、医師の数や養成の在り方、医師の働き方改革の具体化、情報通信技術の実装等を挙げ、わかりやすい言葉で解説を行った。

まず2025年目標に向けて

団塊の世代が2025年には75歳以上の後期高齢者となる。それまでに必要なサービスを確保しようという議論がここ数年行われている。この間にずっと話題になっているのが「地域包括ケアシステム」である。
地域包括ケアとは、地域の実情に応じ、高齢者あるいは生活に何らかのサポートを要する人々が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じて自立した生活を送ることができるようにするシステムを指す。これまでは病院か在宅、施設か在宅という二元的な議論があったが、そうではなく基本は在宅で時々病院に入る、施設にいるが状況が良くなれば在宅にするというように、行ったり来たりする「循環型」へと意識改革をしていく。地域包括ケアは、制度というよりも実践が形作るネットワーク/マネジメントである。『本当にその地域で生活ができるのか』ということを念頭に、医療と介護の連携、生活支援とまちづくりをしていくことが軸となっている。様々な人が様々な想いで地域包括ケアを受け止めているため、地域包括ケアの取り組みは各地域で違っているが、それこそが地域包括ケアと言える。このような仕組みを2025年までに作ろうと取り組んでいる。

医療をめぐる当面の課題

2025年に向け、地域医療構想が進んでおり、病院ではなく地域で生活しながら時々入院する、というような生活をする人々を支えていくサービスを、地域で作っていこうという取り組みが行われている。これは都道府県単位で進められているが、医師は地域によって偏在しているため、是正していかなければならない。どこに医師が多いのか少ないのか、どの診療科が多くてどこが少ないのか等、様々なデータを都道府県単位で見える化し、協議して、是正していく。
また看取りについても身近な問題として考えていく必要がある。人生の終末期について、どのように満足して最期を迎えるかを自分だけで考えるのではなく、できるだけ早期から医療関係者や家族などの周囲の人々と考え、意識を共有していく取り組みをアドバンス・ケア・プランニング(ACP: Advance Care Planning)、愛称を「人生会議」という。

柔道整復を取り巻く現状

養成施設の増加に伴い、施術者数、施術所数が急増したが、果たして国民の期待と信頼に応える質の高いサービスが提供できているのかという議論を呼ぶ。
質を担保する仕組みとして、まず養成施設のカリキュラムを見直し、単位数の引き上げや臨床実習の充実化等を行った。それと同時に広告に関する検討会も開催し、議論を重ねている。現在、広告可能な事項としていくつか掲げられているが、患者が広告内容を適切に理解できるかどうか、必要な情報が適切に提供されているかが重要となる。それらを集約し、一定のルールにしていきたい。
また、柔道整復は公的医療保険からの支払いが認められているが、施術者側・保険者側では意見の相違もある。多くの方が納得する仕組みが必要だということで、柔道整復療養費検討専門委員会において支給対象の明確化、不正の疑いのある請求の審査の重点化、施術管理者の要件強化などが行われた。

2040年に向けて

日本の人口は減少しつつあり、都心部や若い街を除けば、若年層だけではなく高齢者の人口も減ってきている地域が珍しくない。団塊の世代は2025年に75歳以上となり、団塊ジュニア世代は2040年に65歳以上となる。つまり2025年から先は働き盛りの世代が減っていくことが予想され、伸び続ける医療や介護の費用をどのように国民に納得して負担してもらうかという議論を積み重ねてきている。費用の確保は引き続き課題として残るが、2019年10月の消費税増税でひとつの節目を迎えることになると思う。お金の制約も勿論あるが、それ以上に人の制約が厳しくなる。高齢者の方々の医療にかかる需要や要介護認定率を下げ、一方で一人当たりの人材の活躍の範囲を拡げて生産性を向上させるような取り組みを行い、2040年にはニーズが増えたとしても必要となるヒューマンパワーは2025年の水準と同程度に収められればと考えている。働く意欲を持っている人にはできるだけ社会参加をしてもらえるよう促進し、健康寿命を伸ばし、医療福祉のサービスを変えて人の制約を克服していきたい。

最後に吉田氏は〝皆さんはそれぞれの地域医療において中心的な役割を果たされていることと思う。2040年に向けて、そこに住む一人ひとりが元気になれるように、皆さんのご意見を聞きながら取り組んでいきたい〟と結んだ。


後編では、柔道整復術公認100周年記念祝賀会の模様についてお届けします。お楽しみに!

公認100周年記念事業「匠の技 伝承プロジェクト」ポスター

「匠の技伝承プロジェクト」ポスター
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