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柔道整復師連携フォーラム 開催される

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平成29年4月8日(土)、TKP東京駅前カンファレンスセンター(東京都中央区)において『柔道整復師連携フォーラム』が開催された。

柔道整復師連携フォーラム
全整連・田中威勢夫会長

冒頭、主催者である一般社団法人全国柔道整復師連合会(以下、全整連)・田中威勢夫会長は〝お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。本日は公益社団法人日本柔道整復師会の三橋保険部長にもご参加いただいている。全整連には多くの団体が参加しており、日本柔道整復師会と全整連で柔道整復師全体の約70%を占めることを目標としている。行政等と折衝をする際に個人がバラバラに意見していては話が進まない。日本柔道整復師会とは常に話し合いを進めており、何とかこの業界を纏めていこうとしている〟と挨拶。

来賓挨拶で登壇した(公社)日本柔道整復師会・三橋裕之保険部長は〝全整連と日本柔道整復師会は4年前に連絡協議会を設置し、連携を図っている。現在、日本柔道整復師会でも廃業に追い込まれる柔道整復師が増えている。既存の柔道整復師にこれ以上負担を強いるとさらに状況が悪化してしまう、どうしたらいいのかと全整連と協議を重ねた結果、主に①公的審査会の権限強化、②施術管理者の要件強化、③電子請求のモデル事業展開の3点を進めている。全整連と手を組んで、要望を業界の大勢を占める意見として行政に出して進めていくためにも、今日ご参加いただいている先生方にもご協力いただきたい〟と挨拶した。

全国柔道整復師連合会の活動報告

全整連・近藤昌之理事は〝柔道整復師には地域に根差して、骨や筋肉のスペシャリストとして街に無くてはならない存在だった。約20年前には全国で約2万3000人ほどだった勤務柔道整復師は、今や約6万5000人となっている。開業軒数は5万軒を超え、需要と供給のバランスが崩れてしまい様々な問題が出てきている。約10年前の朝日新聞の報道を皮切りに、柔道整復師の保険請求の問題について各メディアで取りざたされるようになった。
行政刷新会議の事業仕分けにおいて柔道整復は議論の的となり、さらに会計検査院からは長期施術・頻回施術等について指摘を受けた。これを受けて保険者は柔道整復師に対するネガティブキャンペーンを行うようになった。その結果、柔道整復療養費は減少傾向にある。
このままでは業界がなくなってしまう。副作用がなく国民の利益となる柔道整復は後世に残していくべきだということで、業界の大同団結を図るために全整連を発足した〟と全整連発足に至る経緯を説明。

続けて〝業界がバラバラではいけない。全整連を発足してから、まず日本柔道整復師会と協働し、業界を纏めていこうと考えた。そして保険者による行き過ぎた患者調査を是正するよう、厚生労働省に連名で要請した。その結果、厚生労働省から保険者に対し、支払いの迅速化や審査の適正化を指示する通達が出された〟と、業界の統一した意見として行政に要望を上げることで成果が得られていることを示した。

具体的な活動の内容として、柔道整復療養費検討専門委員会を挙げ〝検討専門委員会には業界側の委員として日本柔道整復師会から3名、全整連から2名が選出されており、業界の意見を反映させるため尽力している。検討専門委員会で決定した事項についてはこのような場で皆様にお伝えしている〟と説明し、〝現在、柔道整復業界は厳しい状況にあるが、まずは目の前にいる患者さんとの信頼関係を作っていただきたい。そして業界をひとつにまとめるために、全整連にご理解・ご協力いただきたい〟と協力を呼びかけた。

柔道整復療養費に関する制度改正及び
柔道整復学校養成施設カリキュラム改正の概要説明

最初に全整連・田畑興介保険部長は、現在検討専門委員会で進められている柔道整復療養費に関する制度改正について〝内容としては、①審査・指導監督関係、②施術管理者の研修受講・実務経験関係、③「亜急性」の文言の見直し、等がある。まず審査に関して、従来は形式審査と内容審査を組み合わせて行っていたが、これに新たに傾向審査・縦覧点検が加えられ、パターン化した請求をチェックできるようになった。
柔整審査会には有識者や医師もいるが、傾向審査をするには柔道整復師が一番だということで柔整審査会の権限強化を行った。権限強化は不正を行っている柔道整復師を排除することを目的としているので、問題の無い柔道整復師にとっては影響がないものと考えている。また、現在柔整審査会を利用している保険者は1400組合中100組合ほどで、残りの組合は外部委託業者を利用している。そこで審査会の権限を強化することで保険者からの信頼を得て、外部委託業者ではなく審査会を利用してもらおうという狙いもある。
具体的な変更点としては、柔整審査会も施術管理者に対し、申請書の記載内容について照会が行えるようになる。地方厚生局における個別指導・監査についても、不正請求の疑いが濃厚である場合が対象となるので、一般的な柔道整復師は対象としていない。
なお、呼び出しを行うか否かは合議にて決定されるので、一部の委員のみの判断で行われるものではない。次に施術管理者に関して、現在では柔道整復師資格を有していれば施術管理者になれるが、これに要件を設けようとしている。昔は養成校の学生は接骨院で働いて学生のうちに保険請求等の知識を身に付けていたが、現在はそのような学生は少ない。
施術管理者が請求方法を知らないことは問題であり、保険請求に係る知識の向上を図り、適正な請求を担保するために、施術管理者の要件として実務経験3年を課すこととした。ただし、3年の実務経験がないと開業できないというわけではなく、受領委任取り扱いができないということである。実務経験導入スケジュールとしては、29年7月までに研修の項目や内容を確定し、30年1月から研修を開始したいと考えている。ただし、平成29年度に養成施設の学生であるものについては、施術管理者の要件変更等を知らずに入学しているために実務経験を緩和するなど、段階的に実施される。最後に亜急性の文言の見直しについて、「亜急性」とは、平成15年の質問主意書にて『身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すもの』とされている。
この答弁は閣議決定された内容であり、これを変更するには国会で議論する必要があるだろうと我々は考えており、検討専門委員会でもこの内容を踏まえた見直しを行うことを検討している〟と説明した。

また、養成施設カリキュラム改正については〝最低履修時間は1,530時間から2,750時間以上に増えた。追加カリキュラムとしては、医療費等の社会保障制度について理解するために「社会保障制度」が追加される。また、臨床における実践的能力向上のため、「臨床実習」3単位135時間が追加されている。なお、臨床実習施設も拡大されるが、実習生を受け入れるための要件等も新たに規定された〟と、目玉となる改正内容について解説した。

最後に閉会挨拶として、全整連・竹田潔監事は〝これらの改正内容が決定したら、我々が思い描く運用の仕方で展開していきたい。そのためにも多くの柔道整復師を集め、厚生労働省と協議していきたい。個人契約者の方には、全整連あるいは日本柔道整復師会に加入していただければと思う〟と締めくくった。

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