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第5回柔道整復師団体情報交換会 開催される

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平成29年1月18日(水)18時より、衆議院第二議員会館多目的ホール(東京都千代田区)において、(一社)全国柔道整復師連合会(以下、全整連)主催「第5回柔道整復師団体情報交換会」が開催された。

第5回柔道整復師団体情報交換会 開催される

全整連・田中威勢夫会長は〝柔道整復業界では各団体が各様に業界のためを想って活動してきたが、団体によって主張していることがバラバラでは行政もどの意見を聞けばいいかわからない。業界としての総意を伝えるために、平成23年12月に約30団体を集めて全整連を設立した。業界を牽引してきた日本柔道整復師会とも協力し話し合いを進め、意見を集約している。本日も忌憚ない意見を出していただき、次回検討専門委員会に生かしていきたい〟と挨拶した。

(公社)日本柔道整復師会・三橋裕之保険部長は〝業界として一つに纏まらなければならないということで、全整連を各団体との窓口として、意見を集約するために手を取り合って進んでいる。昨年は連絡協議会において、民間の審査会社からの調査等の施術者の方々が悩まされている問題に関して、全整連と日整が連名で厚生労働省に対して要望を提出している。業界存続のためには何を優先していくかということを念頭に置いて活動しているが、保険請求を放り出すと生き残る道はないと考えている。今後も連合としっかり手を組んで、柔道整復師として一致した意見を国や保険者にぶつけていきたい〟と意気込みを述べた。

続いて、出席した厚生労働省職員からの挨拶があった後、全整連・田畑興介理事より同日に開催された「第9回柔道整復療養費検討専門委員会」での議論の内容が紹介された。

柔道整復師に対する指導・監査等の実施状況について

保険者から情報提供に対する指導・監査数が少ない、もっと行うようにとの意見があった。

柔整審査会について

業界側は施術者だけではなく患者からも聞き取りができるようにと要望したが、受領委任払いの契約上、柔整審査会が調査できるのは施術者までで患者に対してはできないというのが厚生労働省からの回答だった。保険者からは本当に現在の体制で対応できるのか、体制強化すべきではとの意見が上がった。

審査基準について

業界側から多部位・長期・頻回施術の請求は現状では少ないので、重点審査項目とする必要はない、傾向審査で見ればいいとの意見があった。また部位転がしについては、特に高齢者は治癒が遅かったり複数箇所を負傷する場合もあるので、負傷と治癒を繰り返す施術のすべてを部位転がしと判断するのは如何なものかと主張した。

個別指導・監査の迅速化について

保険者から指導を複数回受けている場合にはペナルティを与えてはどうか、また改善されるまで受領委任取扱いをストップしてはどうかとの案が出された。領収書の発行履歴等の資料提示については、柔道整復師と患者が共謀した不正請求のケースを想定すると、本当に患者が施術を受けたのかという証明としては意味をなさないというのが業界側の意見。保険者からは履歴が提示できないのは不正の原因になるとの意見もあったが、厚生労働省は領収書の発行履歴が出せないからといってすぐに監査の対象となるわけではないと発言した。

施術管理者の研修受講等について

病院勤務の場合は柔道整復を業として行っているわけではないので実務経験としてみなすべきではないとの意見が、有識者から出された。研修内容としては、質の高い施術と適切な保険請求の2点の習得が求められている。

亜急性について

有識者委員から再三にわたり、亜急性という文言を改めるようにと主張されている。業界側からは内科的でないもの、急性と慢性の間は亜急性でいいのではという意見を出した。保険者からは「亜」や「準じる」等の曖昧な表現を無くしてほしいとの要望があり、業界側としても同意見として良い表現を探していきたいと説明した。

その後、厚生労働省保険局医療課・都竹克宜療養指導専門官と医政局医事課・佐生啓吾医事専門官により質疑応答が行われた。

厚生労働省は質問主意書にて、患者の支給申請書への月初めのサインについて「承知している」と回答されている。しかし、保険者には患者調査にて、患者が月初めにサインしていると回答した場合、返戻や不支給にする場合がある。厚生労働省のご見解と保険者の対応の溝はどのように埋めたらいいのか。

月初めの署名のみを理由として返戻すべきではない。必要事項の記載がないということを理由に返戻されるべきものだと思う。厚生労働省でも個別に保険者を指導していくのでご連絡いただきたい。

依然として、「柔道整復師は医師ではない」や「接(整)骨院では原則保険は使えない」といった逸脱した表現により、患者の受診抑制が働いている。実効性のある指導は行われているのか。ごく一部だが、患者が接(整)骨院を受診した場合、療養費を支払わない保険者も存在している。

逸脱した患者調査については厚生労働省も問題だと捉えている。一部の保険者による過剰な調査は止めるようにと事務連絡等は行っている。ただ依然としてこのような調査がなされている実態も承知しているので、問題が生じた場合にはご連絡いただければ個別に対応していく。

患者が柔道整復による施術を望んでも、「接(整)骨院で施術するなら同意を与えない」として医師が同意を与えない場合がある。これについて厚生労働省の見解をお聞かせください。

厚生労働省では、同意を求められた場合には理由なく拒否することがないようにと、都道府県に対し指導している。このようなケースがあれば個別に対応していきたい。

電子請求のモデル事業の詳細の説明をお聞かせください。

今後の療養費検討専門委員会などでモデルを示したうえで議論していただき、関係者と調整して進めていきたい。

窓口での確認作業や請求時業務等にマイナンバー制度の影響はあるのか。

マイナンバーについては政府でも議論が進んでいるが、柔道整復等の療養費支給申請書については選択的記載事項となっており、強制的なものではない。したがって現段階では、窓口業務や請求業務への影響はないと考えている。

施術録の提示が増える中、柔道整復師の業務負担も増えている。複写の提出に至る場合、手数料や複写料金の実費負担分等を保険者に請求してもよいか。

厚生労働省としては、実費負担等を請求できる仕組みは検討していない。尚、保険者への情報提供にあたっては本人の承諾に気を付けて取り扱っていただきたい。

患者が受傷後に医科での検査を受けてから来院されることがあるが、不支給と言われるケースが多い。どう扱えばいいのか。

医療機関にかかることを前提とし、保険者が認める場合に限り療養費の支給が認められるため、医科を受診した場合には療養費は支給できないこととなっている。医科を受診したことだけが不支給の理由となるのかは、支給申請書の摘要欄に丁寧に記載していただくなど、よく保険者に説明していただきたい。

協定契約に関して大幅な変更点があるが、もう一度協定契約をやり直すのか、通知で終わるのか。厚生労働省としてはどう考えるか。

一からやり直したいのが本音ではあるが、保険者が締結しない可能性も出てくるし負担も増えるだろうと思われる。通知を出して、異存ない場合には引き続き協定を締結するというスタイルを取ろうと考えている。

質疑応答後は療養費支給申請書の改善案が全整連から厚生労働省に提出された。

最後に全整連・近藤昌之理事より〝日ごろから皆さんにご意見を出していただき、それを厚生労働省に伝え、また専門委員会の場で議論していきたいと考えている。どんどんご提案いただきたい〟と挨拶があり、100名以上が参加した情報交換会を締めくくった。

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