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柔道整復師連携フォーラム 開催される

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一般社団法人全国柔道整復師連合会(以下、全整連)主催「柔道整復師連携フォーラム」が開催された。このフォーラムは平成28年9月3日(土)「TKP東京駅前カンファレンスセンター」、10日(土)「TKP大阪淀屋橋カンファレンスセンター」、11日(日)「TKPガーデンシティPREMIUM名古屋駅前」の3会場で開催され、約450名の柔道整復師が参加した。
(下記掲載の内容は9月3日(土)の東京会場の様子となります。)

柔道整復師連携フォーラム
全整連・田中威勢夫会長

主催者として登壇した、全整連・田中威勢夫会長は〝ご承知の通り、8月30日に柔道整復療養費検討専門委員会が開催され、料金改定は0.28%アップと決定した。柔道整復師が行う技術が評価されたということであり、良い結果に終わったと思う。制度というのはその時代に合ったものに変えていく必要があるが、現在の柔道整復師の制度は昭和11年から続いている。福岡裁判以降、柔道整復師養成校の乱立により接骨院が増えたことで、1件当たりの収入が減少したため不正請求が増えたと考えられる。この状況を何とか解決するために業界を一つにしようと、平成23年に全整連を設立した。公益社団法人日本柔道整復師会とも話し合ったうえで当時の厚生労働大臣であった小宮山議員に掛け合って、柔道整復療養費について話し合うために療養費検討専門委員会を立ち上げた。日本柔道整復師会と全整連が手を組んだからこそできたことであり、現在も制度改革に向けてともに活動している〟とこれまでの経緯を述べ、出席者にも協力を呼びかけた。

東京都柔道整復師会・新井宏専務理事

続いて来賓の公益社団法人東京都柔道整復師会・新井宏専務理事は〝この業界がいま迎えている危機は、日本の歴史の中でも非常に大きな時期に来ていると感じている。だが、この危機は柔道整復師だけの責任ではない。日本の高齢化は世界で例を見ないほど急速に進んでいるが、高齢者が増えることにより社会保障費も膨れ上がる。財政を確保しなければならない国は、手を出すことが難しい医療費ではなく削減しやすい柔道整復療養費に目を付けた。平成21年の事業仕分けに端を発し、療養費適正化という名のもとに厳しい締め付けが始まった。その結果、平成24年には100億円のマイナス、翌年にはさらに130億円のマイナスとなった。個人契約者が増え業界が混乱する中で、田中先生が業界をまとめようとしてくださっていることは重要なポイントだと思う。社会保障審議会に柔道整復療養費検討専門委員会ができて、先月30日に第7回目を迎えた。保険者からは柔道整復療養費約4000億円をどうするつもりなのかという質問が上がり、厚生労働省は必要があるのであれば増えても致し方ないという見解を示した。保険者は減らして当然だという態度だったが、正しくやっていることは正しいと認められるべきだ。ただし、我々の業界にも無茶苦茶な請求をする人が増えてしまっている。これは何とかしなければならない。そのために全整連と日本柔道整復師会がしっかり連携して、同じ方向を向いてこの業界を次の世代に繋げられる仕組みを作っていく。それが我々の役割だと考えている〟と挨拶した。

療養費改定と検討専門委員会の概要

全整連・近藤昌之理事

その後、全整連・近藤昌之理事より療養費改定の経緯と新料金について、また検討専門委員会での議題について説明がなされた。 近藤氏は〝今回の料金改定では保険者は柔道整復師にはこれだけ問題があるのだから料金は下げるべきだと主張したが、結果的に0.28%アップということで決定した。これは我々の施術が正当に評価されるように、整復料等にウエイトを置いたためである。具体的には、骨折・不全骨折・脱臼に係る整復料・後療料等の引き上げ、初検料の引き上げ、冷罨法料の引き上げがあった。骨折・不全骨折・脱臼の料金が上がったのは平成10年7月の改定以来18年ぶり、そして消費税引き上げに伴う改定以外では、平成12年6月以来の上げ幅となった〟として、話し合いを重ねてアピールしてきた成果だと述べた。

また、検討専門委員会にて療養費以外で議論されている事項として〝亜急性の定義、柔整審査会の権限強化、施術管理者の要件への実務経験の導入、療養費詐取事件、往療料の在り方、電子請求の導入について等が話し合われている。特に亜急性の定義については議論が紛糾したが、学識経験者から亜急性の外傷は存在しない、外傷はすべて急性だという意見があった。そこで厚生労働省は亜急性の表記変更を検討するとした。施術者側としては表記変更も検討するが、これまでの支給対象と何ら変わりはないものにすることを主張している。柔整審査会の権限強化については、支払いの流れとして保険者は柔整審査会に審査を依頼した後、外部委託業者に二次審査を依頼している。そのため、柔道整復師への支払いが滞っているという現状がある。そこで審査会に、患者や施術所に対し問い合わせを行う調査権限を付加するよう提案している。施術管理者については柔道整復師の資格があれば誰でもなることができ、継続的な資格確認が行われていないという問題がある。これを改善するために、資格取得後に3年間の実務経験を積ませること、さらに資格を更新制とすることを検討している〟と概要を説明した。

パネルディスカッション

続いてパネルディスカッションが行われた。パネリストは全整連の山根氏、福田氏、白沼氏、コーディネーターは近藤氏が務めた。

まず近藤氏が〝業界の未来について意見を交換していただきたい。まず管理柔道整復師について、3年の実務経験が課されるということについてどう考えるか〟と問うと、白沼氏は〝基本的に賛成している。実際に3年経たずに管理柔道整復師になる先生もいるが、最近では養成校に入学しやすくなっているため質の低下は否めない。グループで接骨院を経営しているが、入社後の教育が重要となると考えている〟、福田氏は〝業界にとっていいことだと思う。私たちのことは養成校に入るのも、徒弟制度の中で開業するのも大変だった。今は簡単に開業できてしまうので、障壁が高くなればなるほど志も高くなると思うので、より志の高い先生を育てていくことが大切〟とした。管理柔道整復師になるまでの年数については、山根氏は〝保険のノウハウを叩き込んでから院長にするので、明確に何年ということはない。これから管理柔道整復師を育てるうえでは、このフォーラムのように政府の動向や行政の柔道整復業界に対する考え方等についても教えていく機会が必要だと思う〟と話した。

〝学校のカリキュラムも変更されることについてはどう考えるか?〟との近藤氏の質問には、福田氏は〝今までが少なかったように思うので、学ぶ量が増えることは重要だと思う。覚悟と決意を持った学生に増えてほしい〟と述べ、白沼氏は〝カリキュラムの量の改定の他、質の改定も必要だと思う。現場の柔道整復師と距離を縮めて、より現場で活用できるようなものにしていければ、卒業後によりスムーズに活躍できるようになると思う〟とし、カリキュラムを増やすことについては賛成の立場を示した。

これからの柔道整復をどうしていきたいか?という点については、福田氏は〝柔道整復師にしかできないこと、柔道整復だからできることを磨くことが大切。磨いていくことによって結果的に患者のニーズと結び付いていく。また、異業種との融合を図るなどして柔道整復師の新しい価値を生み出して、国民に柔道整復の良さを分かっていただくことで患者のニーズを広げていきたい。そのために自分たちに自信を持って、技術を研鑽していく必要がある〟と熱く語り、東京会場での本フォーラムは盛会のうちに終了した。

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