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保険者との意見交換会開催される

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平成27年8月6日(木)、柔道整復師センター3F(東京都中野区)において、“患者と柔道整復師の会”主催による保険者と施術者の意見交換会が開催された。

保険者との意見交換会
患者代表

はじめに“患者と柔道整復師の会”患者代表の今城康夫氏は〝患者と柔道整復師の会は5年間、皆様にご支援ご指導いただきながら柔整診療制度および療養費受領委任払い制度の改善に取り組んできた。既に多くの方々にご賛同いただいているが、課題も多く未だ実施に至っていない〟と今までの活動について報告し、〝現在柔整診療請求の適正化の為、私たちが取り組んでいる外傷に関するガイドラインと療養費審査資料収集基準に対する保険者のご意見をいただきたい。柔整診療は私たち患者の痛みの緩解と機能回復に必要な制度で、高齢者の寝たきり予防にも大きく貢献している。患者の為にも忌憚ないご意見をお願いします〟と柔道整復制度改革への想いを語った。

当日は柔道整復診療について理解を深めることを目的として、本論開始に先立ち、▽超音波診断装置の使用法とその有用性、▽接骨院・整骨院における日常業務についての説明が行われた。

(株)エス・エス・ビー

漫然とした治療を防止するための超音波診断装置の使用方法および有用性については、(株)エス・エス・ビーの富田孝次氏より説明が行なわれた。富田氏は〝超音波診断装置が柔道整復師に使われ始めて20年以上が経つ。超音波を使うことで何が分かりどんなメリットがあるのかお話ししたい〟と講演をスタートした。富田氏は超音波の原理について〝人間の耳には聞こえない周波数の音であり、超音波を発するプローブを身体に当てることにより超音波が身体に入り、反射することで画像化する〟と説明したうえで〝超音波診断装置には、身体に害を与えない、コンパクトで持ち運び可能である、当てた瞬間に患部の状態が確認できるリアルタイム性がある、低ランニングコストである等のメリットがある。デメリットとしては、全体像の把握に不向きである、技術と慣れが必要である等が挙げられる。では他の診断装置と比較してどんなところがいいのか〟として、①X線で判別しづらい骨折を確認することができる、②静止画で見つけた異常所見から推測していた病態を動画で確認できる、③非侵襲性なので、損傷組織の修復状況を確認しながら治療ができる、④カラードップラー法により組織炎症で生じた血流を確認することができる、等の利点を挙げ、実際に超音波診断装置を使用して映像を見せるなどして分かりやすく解説を行なった。

社団JB日本接骨師会

接骨院・整骨院の業務については“患者と柔道整復師の会”後援団体である社団JB日本接骨師会・常任理事の荻原啓二氏が説明を行なった。荻原氏は〝開業して32年、柔道整復師になって36年程が経った。治療の流れとして、患者様が来たら、本人に来院簿と予診票に記入していただく。いつどこでどこをどのように痛めたかが重要となる。病歴や治療歴、通院歴なども確認しておくこと。問診・視診・触診・聴診・打診および徒手検査・機器検査などを行なったら、患者の主訴から治療方針・計画を患者さんに説明し、漫然とした治療にならないようにしている。しかし施術所によって行なっている治療は異なる〟と、自身がバネ指を発症した際の受療経験なども交えながら紹介した。
また接骨院の特色として〝部活をしている学生の中にはテーピングなど固定をしてほしくないという子どももいる。スポーツを練習しながら治すのが一番難しい。私の場合はギプスではなく金属副子など最小限の固定にする。そして毎日来院してもらい、顔色や状態を見ながら治療する。学生だけでなく高齢の方も同様であり、患者の状態をこまめに見られることは接骨院の強みだと思う。自己治癒に導くことが重要だ〟と述べた。

その後本論に移り、施術者と保険者の意見交換が行われた。進行役の社団JB日本接骨師会顧問の本多清二氏は、しばしば施術者・保険者間で認識のかい離が起こる亜急性損傷について触れ〝亜急性の治療をどこまで認めるかの線引きが苦労するところ。負傷してから家で静養していて時間が経ってから接骨院に来院するような、本当であれば急性であるのに亜急性となっているものもある。畑仕事をしていて腰を痛めた場合はどうなるのか?〟と質問を投げかけた。

これに対し施術者側からは〝急性として扱う。よく捻挫を起こす人もいる。ヘルニアや脊柱管狭窄症などの持病があり腰を固定している人は、くしゃみをした拍子にギクッと痛める場合もある〟との意見が上がった。

一方で、保険者側からは〝捻挫というとひねるイメージだが腰を痛めても捻挫として扱うのか?〟といった疑問の声や〝腰痛の多くがストレスなど脳の問題であり、実際に腰には問題がないというケースもあるという説も出てきている。あまりにも治癒が長引く場合には脳外科などの診療を勧めるなど、そういった知識を持ったうえで施術に臨んでほしい〟と患者を抱え込むことの危険性を訴える意見もあった。

また、学生の部活動に参加しながらの治療については〝指導のあり方とかはどうするのか〟と本人・保護者・施術者の責任について言及する保険者もあったが、施術者側からは〝(当院には)筋肉疲労でマッサージしてくれという人は来ていない。でも練習しながら治療したいという人は少なくない。例えば1週間練習しなければ必ず治癒すると言えるものでもないため、練習での経過を見ながら治療するということはある〟との意見が上がり、部活動に打ち込む学生の想いも考慮しながら施術を行なっている様子が垣間見えた。

その他にも施術者・保険者双方が本音をぶつけ合い白熱した議論が展開され、予定時刻を大幅に超過しての閉会となった。

「急性期を経過した外傷に関するガイドライン」作成にあたっては、柔道整復業界内のみならず保険者・厚生労働省など関係各所の理解を得る必要があり、各々が心から納得できるものにしていくには困難が多々あると思われるが、それぞれの想いを汲み取って理解しあう努力をしていかなければならないと感じた。

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