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2013年度 日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクト 日本研修閉講式

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平成25年8月9日(金)東京都文京区にある東京ドームホテルにて『2013年度 日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクト 日本研修閉講式』が開催された。

2013年度 日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクト 日本研修閉講式

この日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクトは、公益社団法人日本柔道整復師会が独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の草の根技術協力事業(パートナー型)の支援(5年間)を受け、モンゴル国内において『柔道整復術の指導・普及がモンゴル人のみにより可能となる状態になること』を目標とし、2011年9月よりスタート。指導者候補生はモンゴル国における基礎講習、臨床実習のみならず、日本の医療機関において2ヶ月間の研修を行ない、柔道整復術習得に勤しんでいる。今回の日本研修閉講式では、3名のモンゴル人研修員が活動報告を行なうこととなった。

工藤鉄男会長

閉講式は(公社)日本柔道整復師会・木山時雨副会長の開会の辞で幕を開け、主催団体代表として挨拶を行なった(公社)日本柔道整復師会・工藤鉄男会長から〝日本で研修された3名のモンゴルの医師達に、柔道整復術をしっかりとその国で活かしていただきたいという思いを込め、お帰りになる前に皆様方に成果をご披露するため、このような閉講式を開催させていただきました〟と閉講式開催の経緯を説明。また〝3名の研修員の皆さんには、モンゴルでお医者さんにかかれない方達のために、是非その初期治療の役目を果たしていただきたいと思っています〟と研修生3人の自国での活躍を期待すると共に、〝我々もこれからモンゴルだけでなく、常に新しい技術をしっかりと研修、研鑚し、お互いに切磋琢磨しながらその技術を世界に発信していきたい〟と決意を新たにし、挨拶を締めくくった。

富永敬二氏

続けて行なわれた国際部報告では、(公社)日本柔道整復師会国際部理事・富永敬二氏により、同プロジェクトの活動に至るまでの経緯や詳細説明、今後の活動等が発表された。富永氏は〝2011年に始まりました本プロジェクトも折り返し地点となり、モンゴル国カウンターパートナーならびに関係各位と、さらに柔道整復術普及・定着に向けての検討を継続してまいります〟と抱負を語り報告を終了させた。

芳賀克彦所長

次に来賓を代表し、JICA 国内事業部 地球ひろば・芳賀克彦所長が挨拶。芳賀氏は〝指導者候補の方々に実際に日本で研修を受けていただくことが、まさに柔道整復術の指導・普及をモンゴル人により可能とするという、このプロジェクトの達成に大きく寄与する重要な部分と考えています。今回日本で学んだことを帰国後に復習し、その後はできるだけ多くの方々に研修の成果を伝えていただきたいと思っています。この度の協力は公益社団法人日本柔道整復師会の皆様からのご提案があって、初めて成立しました。モンゴルに対するこのような協力の熱意に対し、心から感謝を表明させていただきます。このような協力が日本とモンゴルのさらなる友好親善関係の促進に繋がることを心から期待する次第です〟と研修員への期待と関係者への感謝を述べた。その後閉講式は来賓紹介の後、研修員による活動報告へと移った。

続いて研修生からの報告に移った。

研修生活動報告

准医師   オユンバートル・ダリルチュルン
研修先:市川整骨院(茨城)、東京医科大学茨城医療センター(茨城)

准医師   オユンバートル・ダリルチュルン

今回、私の研修の目的は足の損傷について理解を深めることだった。足関節捻挫はモンゴルでもとても多く、毎日の治療の中で症状の変化をみることが出来た。特に印象に残ったのは、エコーで靭帯の様子を観察できたこと。エコーはモンゴルの医療にとても必要なものだと感じた。エコーはレントゲンと違い、筋肉や靭帯を動かしながら観察できるところが良く、持ち運びができるエコーには驚いた。今回の研修では往診にも行ったが、モンゴルでは村の医者は往診をするのでとても勉強になった。先程のポータブルエコーを持って治療を行なう事が出来れば適切な治療ができると思う。東京医科大学茨城医療センターでは、接骨院ではあまりみられない重症患者が沢山来院し、多くの治療を観察することが出来た。

准医師   ダシュラウダン・ボロルトゥーヤ
研修先:美浦整骨院(茨城)、東京医科大学茨城医療センター(茨城)

准医師   ダシュラウダン・ボロルトゥーヤ

2ヶ月の研修期間で様々な怪我を見学した。中でも上腕骨外科頸骨折の症例が印象的で、治療により症状が変化していくところを見学することができ、とても勉強になった。リハビリで大切なのは、骨折したところだけでなく他の関節の動きを良くすることだと分かった。東京医科大学茨城医療センターでは毎日色々な整形外科の手術を見学し、入院時の診察から退院するまでを見ることができた。手術前の患者さんの診察やレントゲンを観て、手術中に実際の状態を確認し、手術後のリハビリ治療の結果まで見学できたことがとても勉強になった。

准医師 エンフタイワン・トゥブシンバヤル
研修先:なおみせっこついん(香川)、栗原整形外科(埼玉)

准医師 エンフタイワン・トゥブシンバヤル

今回は4回目の日本研修。今まで習っていない股関節脱臼の整復法を教えていただいた。またベネット骨折や色々な骨折の整復・固定法について学び、その他にも後療法の中で用いられる全身のテーピングの仕方を教えてもらった。また香川県接骨師会の先生方に勉強会を開催していただき、様々な症例を用いて指導していただいた。栗原整形外科では、今回の日本に来る目的のひとつであった膝の前十字靭帯の損傷について細かく教えていただき、その他にも骨折整復、整復の助手、固定・ギプス等をさせていただいた。接骨院や整形外科以外にも、様々な人が開催している講習会に参加させていただいた。今回、骨折整復の固定もそうだが、後療法について多く学ぶ事ができた。これからモンゴルでもリハビリテーションに係るような知識をさらに深めたいと思う。

研修員活動報告後にはJICA、並びに(公社)日本柔道整復師会より研修生へ受講証明書の授与が行なわれ、その後(公社)日本柔道整復師会・萩原正和副会長の閉会の辞で閉講式が幕を閉じた。

今回の活動報告を受け、研修員からは自国の医療発展のために必死で柔道整復術を吸収しようという想いが伝わってきた。このような活動を行なっている(公社)日本柔道整復師会に敬意を表すると共に、日本から生まれた柔道整復という技術が世界中に広がり、1人でも多くの人を救うことが出来るようになることを期待したい。

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