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第93回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 開催

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令和2年12月24日(木)、AP虎ノ門A会議室(東京都港区)において、第93回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会が開催された。

第93回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会

本部会では、フリーランスとして働く人の保護のため、労働者災害補償保険の特別加入制度の対象範囲を柔道整復師やアニメーション制作従事者、芸能従事者にも拡大するという点について意見が交わされた。

第92回労災保険部会特別加入制度にかかる主な意見

特別加入制度の対象拡大について、前回の部会において委員から挙げられた意見が紹介され、それに対する方向性が事務局より示された。

  • 芸能従事者とアニメーション制作従事者の間に同様の業務の範囲があると考えるが、特別加入者はどちらの業種の特別加入団体に加入するのか自ら選択することができるのか?
  • 業務の範囲については通達の中でさらに明確化して示したいと考えている。
    どのように両者を切り分けるかについては、業界団体とも調整しているが、アニメーション制作と芸能ではその作業の目的や成果物が異なるため、いずれかの特別加入団体に加入していただくことを想定している。アニメーション制作と芸能のどちらの作業にも従事しているという場合は、希望されるのであれば両方の特別加入団体に加入していただくことで、保険料負担は生じるものの、どちらの作業で生じた災害であってもカバーできるようになる。
  • 地域要件を課さない場合の条件を、特別加入団体が満たしているかの確認はどのようにするのか?
  • 必要な安全性に関する研修その他を実施することを条件として認めていくという議論だった。実施状況等の確認については、年度更新の際に前年度の活動の実績を報告いただきたいと考えている。様式等については今後整理していきたい。
  • 適切な災害防止措置を取らず、加入促進だけを進めるような団体への対策を徹底していただきたい。
  • 特別加入制度の対象範囲が広がることによって、現時点で労働者として保護されている者が一人親方化しないように、加入の際や団体への指導の際にチェックをお願いしたい。
  • 特別加入制度を進めていくうえで、団体は適切な災害防止措置を行う必要がある。新規加入の団体だけではなく、従来から加入している特別加入団体に対しても通知等を行い、注意喚起していきたい。
  • 特別加入団体が災害防止する上で、被災状況等実態把握するのは重要である。特別加入団体が災害防止のPDCAを回すために、定期的に把握するよう呼び掛けても良いのではないか?
  • これも通知等で団体に呼び掛けていきたいと考えている。

委員からは〝地域要件を課さない場合の条件として行う研修について、コロナ禍ということもあり昨今ではオンラインでの研修も多くなってきているが、オンラインの場合、対面での研修に比べてできることが限られているという指摘もあるが、より多くの方に手軽に研修をするという意味では有効なツールになり得るのではないかと考えている。そういったツールも活用して災害防止に努めていただきたい。また、定期的に被災状況を把握して災害防止に繫げていくことは大変重要なので、団体に対する適宜の呼び掛けと支援を改めてお願いしたい〟との意見が上がった。

労働政策審議会に対する諮問

「労働者災害保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱」および「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」については、事務局からの両省令改正案の説明の後、諮問が行われた。

労働者災害保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱

要綱では、特別加入の対象となる事業として、柔道整復師法第二条に規定する柔道整復師が行う事業、また特別加入の対象となる特定作業として、放送番組(広告放送を含む)、映画、寄席、劇場等における音楽、演芸その他の芸能の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの及びアニメーションの制作の作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるものを新たに規定する、としている。第2種特別加入保険率はそれぞれ1000分の3とする。公布は令和3年1月中旬、施行は令和3年4月1日を予定している。

仁平委員:労災が働く人々にとって大切なセーフティネットであるということは間違いない。これまで加入できなかった方々が労災に特別加入できるようになったことは一歩前進であると考えている。

田久委員:保証がなかった人々に範囲を拡大することには賛成。柔道整復師、芸能従事者及びアニメーション制作従事者以外にも、加入を希望している団体はあるのか?

事務局:柔道整復師、芸能従事者及びアニメーション制作従事者以外にも希望が出ている。団体も個人もあるので、業界の状況把握等も含めて個別にヒアリングしている。今回諮問を行ったのは、準備が整っている柔道整復師、芸能従事者及びアニメーション制作従事者の3つとした。今後も増える可能性があるが、これまでの議論を踏まえて適用するにふさわしいものがあれば改めてご提案したい。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱

今般、法務省においてオンラインによる法人の登記情報を提供可能とする仕組みが構築され、令和2年10月から行政機関間の情報連携が開始されているが、オンラインによる登記簿情報等の情報連携の対象となる書類は、個別法令上、提出を求めている添付書類に限られ、通達等において提出を求めている添付書類については情報連携の対象外となり省略できないこととなっている。労働保険関係手続においては、「保険関係成立届」及び「名称、所在地等変更届」については、法令上、登記事項証明書等の添付は求めていないものの、行政運営の適切な執行のため、関係通達において、必要があると認められる際には、登記事項証明書等の添付を求めているところであるが、改正によって「保険関係成立届」及び「名称、所在地等変更届」については、登記事項証明書等の添付の省略が可能となる。公布は令和3年2月1日を予定している。

鈴木委員:オンライン化は業務の効率化にも資する。今年4月から特定法人を対象に、社会保険や労働保険の一部手続きについて電子申請が義務化されている。今回の省令改正は、完全なオンライン化を実現する上では必須と考える。

審議の結果、いずれの厚生労働省案も妥当であると認められ、事務局から答申文が出された。
この答申を踏まえ、今後、厚生労働省にて省令の改正作業が進められる。

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