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「民主党柔道整復師の業務を考える議員連盟」総会が開催される

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平成28年2月29日(月)、衆議院第2議員会館地下1階第1会議室において、「民主党柔道整復師の業務を考える議員連盟」(以下、柔整議連)総会が開催された。

全整連・田中威勢夫会長
全整連・田中威勢夫会長

開催にあたり、柔整議連顧問を務める中井洽氏から挨拶があり、続いて全国柔道整復師連合会(以下、全整連)の田中威勢夫会長から〝6月の料金改定に向けて、全整連として様々な団体から意見を聴取し、それらを集約して厚生労働省に対し要望書を提出したいと考えている。柔道整復師の平均月収は79万円(平成24年時点)と激減し、そこから家賃や衛生材料費等を支出したらほとんど残らない。このままでは接骨院はやっていけないので、何とか料金を上げていただきたい。また、柔道整復師といえどもその都度患者さんの様子を見ながら治療を行なっているのだから、再検料等の扱いを改善していただきたい。加えて、最近行き過ぎた患者調査を行う損保会社が出てきている。柔道整復師法の中の業務の制限を拡大解釈した内容で、現場は大変混乱している。省庁でどうにかしていただかなければならない〟と今総会の議題について概要が説明された。
その後、出席した各団体の紹介が行われ本題へと移った。

柔道整復施術療養費改定に関する要望

整骨院振興協同組合・近藤昌之代表理事は〝柔道整復師は、江戸時代から運動器のスペシャリストとして国民医療の一翼を担ってきた。特徴としては安くて副作用がなく、地域に密着している。現在、6万4000人の勤務柔道整復師、4万6000人の開業柔道整復師がいる。平成10年に福岡地裁で柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決が下されて以降、養成施設設置の制限がなくなり柔道整復師が急増した。それに伴い柔道整復療養費が増加したが、平成21年の行政刷新会議で会計検査院の指摘を受け、厚労省等により適正化が図られた。議連や専門委員会が立ち上げられたことで、随分と料金は適正化されてきた〟と柔道整復業界が辿ってきた経緯を説明。そのうえで近年の国民医療費の伸びについて触れ、〝柔道整復施術療養費は減少しているが、一方で整形外科の医療費は増加傾向にある。このままでは廃業する柔道整復師が増えて利点の多い接骨院が地域医療を担えなくなり、患者が整形外科に流れてさらに医療費を圧迫してしまう。これらの状況を鑑みて、3点の要望を出させていただいた〟として以下の要望を提出した。

あさひ接骨師会副会長の藤井剛寛氏からも改めて柔道整復師の窮状が説明され、〝収益がなければスタッフも雇えない。真綿で首を絞めるようでは、この業界で頑張る未来の若者も夢を持つことができない。このままでは古くから続いてきた柔道整復も存続できると思えない。料金改善を求める〟と訴えかけた。

出席した議員からは〝全体的な財政状況を鑑みて、地域における医療の観点からすると、柔道整復師の方々の主張は受け止めていただくべきと考える〟〝今まで大変努力されてきたのだと実感した。柔道整復師の方々は国の財政に寄与してきている。患者が整形外科に流れたら医療費が増大すると考えて、現実的に改定につなげていただきたい〟等、ひっ迫する財政状況の中で柔道整復を活用することで、国民医療費の伸びを抑制できるのではないかと期待を滲ませる意見が上がった。

要望書はその場で決議が行われ、厚生労働省担当者に提出された。厚生労働省保険局医療課・松田芳和療養指導専門官は〝料金改定については今後、施術者側の代表者や保険者等を含め、関係者の意見を踏まえてできるところから検討させていただきたい。具体的な中身については持ち帰り検討したい〟と回答した。

柔整議連・武正公一会長
柔整議連・武正公一会長

柔整議連・武正公一会長は〝議連として先生方とともに厚生労働省に対する要望を進めてまいりましたが、決議し要望書も提出させていただきましたので引き続き療養費改定に向けて改革を進めていきたい〟とコメントした。

自動車賠償責任保険関係三省庁検討会設立に関する要望書

自動車賠償責任保険については平成26年4月9日の第186回国会衆議院厚生労働委員会において、民主党・長妻議員が不正受給の問題を指摘、さらに関係省庁(厚生労働省・国交省、金融庁)の担当者チームを組織し検討会を設立することを提案しており、その進捗を問う質問が上がった。

これに対し、金融庁監督局保険課・西田英範課長補佐は〝検討会には損保業界だけではなく、金融庁・国交省・厚生労働省も参加させていただいている。不正対策として、例えば不正請求問題の広報周知活動を行うなどの対策について議論している〟と回答した。

道友協会の田畑興介会長は〝損保会社の中には『柔道整復に関する担当医所見のご案内』と称した文書で「柔道整復師法第17条により脱臼または骨折の患部に施術をする場合は医師の同意が義務付けられています。脱臼または骨折が無い場合でも、貴殿にとって適切な治療がなされるよう、弊社では医師の見解を確認させていただきます」などと指示するものもある〟として、ある損保会社が患者に対し送付した文書を例示。〝捻挫・打撲・挫傷では柔道整復師は医師の同意を必要としないのに、あたかも同意が必要であるかのような内容になっている。規制の部分のみ抜粋して通知されるのは心外だ。法律にかかわる部分はしっかり運用していただきたい〟と改善を求めた。

西田氏は〝自賠責の保険金支払いでは、施術費用については事故との因果関係が必要となるため医師の見解を求める場合もある。被害者だけではなく柔道整復師に対しても十分な説明を行なう〟としたものの、前述の文書の記載方法の問題については〝行政としては保険金の適切な支払いにあたっての確認方法などは定めていない。きちんとした説明が重要であり、文書を使うかどうかはケースバイケースと考えている。個別の事案についてはここで見解を述べることは差し控える〟と述べるにとどまり、改めて書面で回答するとした。

柔整議連・中井洽顧問
柔整議連・中井洽顧問

最後に中井顧問は〝無茶苦茶な請求を行っている特定の地域・団体・柔道整復師のせいで全体が悪く見られているが、全体を抑え込むのは間違っている。特定の人だけ悪いのであって全体が悪いのではない。ここに集まっている人たちは互いに研鑽しあって真面目にやろうと努力している。悪い人は徹底的に排除し、真面目な柔道整復師がやっていけるように考えることが大切だ〟と理解を示し、閉会となった。

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