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『「匠の技 伝承」プロジェクト2023年度第2回指導者養成講習会』開催

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令和5年8月20日(日)、日本柔道整復師会会館(東京都台東区)において『「匠の技 伝承」プロジェクト2023年度第2回指導者養成講習会(指導者評価確認講習)』が開催された。

「匠の技 伝承」プロジェクト2023年度第2回指導者養成講習会

本講習会は、公益社団法人日本柔道整復師会・竹藤敏夫副会長の開会の辞により開始。足周辺の骨折(外果骨折)と顎関節脱臼をテーマとし、整復・固定操作と超音波画像描出について合同実技実習及び指導者評価確認が行われた。

長尾淳彦会長

長尾淳彦会長は〝日本柔道整復師会が新執行部になって初めての講習会となる。本プロジェクトは、柔道整復術公認100周年を記念して立ちあげた10年計画のプロジェクトであるが、我々柔道整復師がそのアイデンティティともいえる骨折・脱臼施術を今一度学習し、ひいては行政や保険者に対し柔道整復師が骨折・脱臼の施術を行えるということを改めて周知することを目的としている。単に技術を継承するだけではなく、患者様のためにも学術的なエビデンスを示せるよう徐々にグレードアップさせていきたいと考えている。このままでは業界の存続も危ぶまれる。現執行部も血眼になって取り組んでいるが、皆さんも本プロジェクトの意味を再認識し、各地域の方々にも伝えていっていただきたい〟と挨拶。

徳山健司学術教育部長

徳山健司学術教育部長は〝日本では、国民皆保険制度により「誰でもいつでもどこでも公平に」治療が受けられる。そのために医科では治療の標準化が行われ、ガイドラインまで作成されている。では柔道整復業界はどうかと考えた時、若い施術者とベテランの施術者とで差がありすぎるのではないか。その差を埋め、技術を平準化しようというのがこの「匠の技 伝承」プロジェクトだ。そのために皆さんには各地域で若い施術者にご指導いただきたい。10年という長い年月になるが、ガイドライン作成のためにも先生方のご協力が必要だ〟と、改めて本プロジェクトの趣旨を説明したうえで、評価確認方法について説明を行なった。

合同実技実習

続いて、佐藤和伸講師・山口登一郎講師の両名より実技評価のポイントが解説された。

佐藤講師

超音波画像描出操作のポイントについて、佐藤氏は〝画面向かって左が中枢、右が末梢となる。腓骨の観察の場合、患者の体型によっては見えにくい場合があるのでその際はエコーゼリーを多めに使用する。腓骨にプローブを当てると、腓骨の中枢が線状高エコーとして描出される。そこから末梢に動かすことによって、この線状高エコーが扇型に大きく広がる。これが短軸走査。そこからピボットをして、長軸に合わせる。腓骨から距骨にかけて前距腓靭帯が出てくる。靭帯は層状の線状高エコー(fibrillar pattern)として描出される。次にストレステストを行う。踵骨を第2~5指で把持して手前に引く。第1指は下腿を前方に押し、その動きを観察する。靭帯が損傷していれば、この程度の動きでも骨が離れていく様子が描出できる。踵腓靭帯を描出する場合は足関節を背屈させて腓骨から後方に向かうと見えてくるが、靭帯を損傷している場合は描出が難しい。そのため、脛骨と距骨を描出して内反ストレステストを行う。プローブをしっかり固定し、動きを観察する〟とした。

山口講師

整復・固定実技ポイントについて、山口氏は〝外果骨折では、最初にクラーメル副子の採型を行う。下腿のラインに上手くフィットできるかどうかが大切。ただし、踵部は褥瘡防止のため、副子が当たらないように少し浮かせる。牽引する際は、患肢が右であれば中足部を右手で把持する。グッと押さえる必要はなく、当てるだけで良いので密着させること。左の手掌部を踵骨に当てて、脛骨の軸と第二中足骨が合っているかどうかを確認しながら、術者の体重を利用して末梢牽引する。十分に患肢に伝わったら、踵骨に当てていた手掌を外果に当てて、牽引しながら押圧を加えて整復完了とする。固定には、クラーメル副子と当て綿(綿花にガーゼを巻いたもの)に切込みを入れたものを合わせて使用する。包帯を強く巻けば固定力が上がるというものでもなく、クラーメル副子を患肢に密着させることのほうが重要だ。顎関節脱臼の整復では、患者の後頭部を術者の大腿部に乗せ、左右の母指球を下顎角に、四指を下顎体部に密着させて下顎を把持する。下顎を前下方に押圧したら頤部を挙上させて整復する。整復後は必ず弾発性固定がないかを確認することも重要〟と解説を行なった。

合同実技実習では受講者は2人1組となり、互いを術者・患者役として整復・固定と超音波画像描出を行なった。講師は各受講者の実技の様子を巡回しながら確認し、丁寧にコツを指導した。

その後、都道府県毎に指導者評価が行われた。施術者は一つひとつの動作について説明を行いながら、整復・固定や超音波画像の描出を行う。総合評価は整復・固定技術と超音波画像描出で区別してA・B・Cの評価判定が行われる。C評価となった受講者については再確認が行われる。

森川伸治副会長

総括として、森川伸治副会長は〝ここに参加された先生方には各地域で指導者として活動していただくために、指導力も評価させていただいている。我々柔道整復師が扱う骨折・脱臼は施術全体の0.1%ほどであり遭遇することが少ないが、まずは先生方に確実にマスターしていただき、地域の先生方に指導していただきたい。問診・視診・触診で骨折・脱臼を把握し、その評価の確認として超音波観察を行うということを基本として、日々研鑽を積んでいただきたい。各地域で皆さんの指導力を発揮していただけるよう期待している〟と述べ、金子益美理事による閉会の辞で終了となった。

次回はオンラインにて、11月5日(日)に「手部・手指の骨折脱臼」について、2月11日(日)に「足部・足指の骨折脱臼」について講習が行われる予定となっている。

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