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第24回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

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2023年7月13日(木)、TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)において『第24回柔道整復療養費検討専門委員会』(以下、専門委員会)が開催された。

第24回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

厚生労働省からの説明概要

はじめに厚生労働省より、ワーキンググループにおいて検討を重ねている12項目の論点や課題等について説明がなされた。

1.基本方針、業務フローについて

① 基本方針について

オンライン請求の導入にあたっては、現行の公的医療保険制度における療養費制度の枠組みにおいて実施することを前提として検討を進めていく。そのうえで保険者の支給決定権、審査支払機関の関与といった制度面に係る法的な整理、過誤調整等の個別の事務に係る法的な整理、オンライン請求導入後の受領委任協定及び契約の取り扱いについては、検討に時間を要することから、早期に検討に着手することとしている。
オンライン請求導入の目的・効果としては、1.療養費の施術管理者への確実な支払い、請求代行業者等による不正行為の防止、2.オンライン請求による施術所や保険者の事務の効率化、システム整備・運用の効率化、3.審査の質の向上、4.より質が高く効率的な施術の推進、等が挙げられる。

② 基本的事務フローについて

事務フローについては、審査支払機関が関与する事務フローを原則として検討を進めることとする。また、審査支払機関の法的な位置づけに基づく業務範囲を整理するとともに、現在進行中の審査支払機関改革における事務の効率化等に向けた取組の進展を踏まえながら、検討を進めていく。 オンライン請求後の審査・支払い事務フローの構築については、現行の各保険者における事務フローや審査支払機関の関与が確立している療養の給付における事務フロー、また現行の療養の給付事務フローと外部システム等との連携などを参考に検討を進めていく必要がある。 審査支払機関へのオンライン請求への入出力に関する事務フローについては、施術所側の請求事務、保険者側での受付・審査・支払事務、システムベンダーとの調整等、電子請求実態を参考とした検討を行う。

③ 審査のあり方について

コンピュータチェック(CC)および審査委員会における審査のあり方について、効率的・効果的な審査及びその質の向上につながるよう、それらの位置づけ、組み合わせ方も含め、柔整療養費の料金構造等を踏まえながら検討を進めていくこととする。なかでもCCについては、標準的なCCによる事務点検、CCにより不適切な請求を疑われた請求等について審査委員会が審査する仕組みのあり方、審査委員会の審査結果を保険者等が確認し決定する仕組みなど、引き続き検討していく。また、現行の審査委員会についてもあり方を整理していく必要がある。さらにオンライン請求導入以後の保険者等から地方厚生局、都道府県への情報提供、指導監査のあり方及び患者への影響も検討していく。

④ 過誤調整の取扱いについて

審査支払機関や保険者等の業務負担の軽減・効率化、手続きの迅速化等の観点から、療養費における過誤調整のあり方についてさらに検討していく必要がある。検討にあたっては、最高裁判例等も踏まえたうえで法的解釈および限界点の整理といった点を中心に検討を進めていく。

⑤ 署名・代理署名の取扱いについて

オンライン請求導入後は紙による受領委任に係る署名・代理署名等は廃止し、電子的認証システムによる処理を原則として、必要な検討を行うこととする。そのうえで、受領委任払制度における患者署名の目的やオンライン請求導入後の電子的認証行為に係る法的解釈と目的、位置づけについて引き続き整理していく。

⑥ 紙請求等の取扱いについて

オンライン請求導入後は療養費申請書の紙請求廃止を原則とする。そのうえで仮に一定期間、オンライン請求と紙請求を併用する期間を設ける場合であっても、紙請求の廃止とオンライン請求への完全移行に向けた期間を区切った経過措置とする。また、システム障害や災害発生時等における代替措置等についてもあわせて検討していく。

2.システム基盤について

⑦ オンライン請求システムの構築について

審査支払機関等が運用するシステムの活用を原則とし、簡素で分かりやすい仕組みとしつつ、医療DXへの拡張性についても併せて検討を進めていく。その場合、オンライン資格確認、振替分割、NDB登録、マイナポータル連携等を見越した開発の検討も行う。費用対効果等を比較検証したうえで検討を進める。

⑧ 電子請求様式等について

オンライン請求支給申請書の記録形式やレコードの種類等については、全国統一仕様とする方向で検討を進める。医療DXに活用できる仕様といった観点も含めて必要な検討を行う。

⑨ 施術所管理について

基盤とする審査支払機関のシステムにおける登録・管理方法に準じて全国統一仕様とする方向で検討を進めることとする。施術管理者番号または施術所単位、それぞれの管理を基本とした場合にどういった業務が可能なのかを整理していく必要がある。 また、併せて療養費の振込口座のあり方や復委任のあり方等についても検討を進めていく。

⑩ 電子申請書(請求書)管理について

診療報酬レセプトと同様の管理・保管方法に準じて全国統一仕様とする方向で検討を進めることとする。返戻、再審査及び再請求等についても法的な位置づけ等について整理する。現状では各保険者により対応が異なっていると考えているが、返戻、返戻後の再申請、再審査を実施する場合、オンライン請求システムにおいて実施できることを原則として検討を進める必要がある。

3.費用負担等について

⑪ 予算及び維持経費等の見込みについて

オンライン請求導入に関する費用負担者については、ワーキンググループにおける実務的・技術的課題の整理を踏まえたうえで、最終的には専門委員会における議論・決定が必要と考えている。療養費請求や療養費請求受付・審査・支払いに関してどういった事務経費が掛かっているのかという点を中心に実態調査を行い、そのうえでワーキンググループにおいてシステム要件や詳細仕様等について検討を進める。

4.工程表の策定等について

⑫ オンライン請求システム開発スケジュール等について

論点を3グループ程度にまとめたうえで検討を進める。今年度についてはワーキンググループ関係者に随時ヒアリングをしていく必要がある。また、実態調査も実施し、その結果をワーキンググループにおける検討に適用していきたい。最終的には、令和6年度中にオンライン請求の運用方針案についてまとめたうえで、その後のスケジュールに移していくというのが当面のスケジュールであると考えている。

また、ワーキンググループでも構成員を務める新田委員からは〝ワーキンググループの皆様には活発かつ率直にご意見を出していただいた。今回の報告はこれから何を検討しなければならないのかを洗い出して整理をしたものであり、検討スタートの準備が整った段階と考えている。引き続き検討を進めていく〟とコメントがあった。

各委員からの主な意見・要望

厚生労働省からの説明を受け、専門委員会各委員より意見や要望等が挙げられた。

1.基本方針、業務フローについて

  • 保険者および公的機関からの返戻で最も多いのが資格喪失で、医科併給も見受けられる。現場でも保険証の確認や聞き取りに注意を払ってはいるがなかなか減らない。オンライン資格確認の事務フローがスムーズになるよう、申請前に確認ができる項目等を十分検討していただきたい。
  • 仕組みを構築する上では、全員参加でかつ十分な時間をかけて進めていただきたい。
  • 療養の給付については審査支払に関する業務を支払基金に委託することができるが、療養費については保険者がやむを得ないと認めた場合に支給することができるとされている。審査を審査支払機関に付託する前提のオンライン請求への参加は、療養の給付と同様に保険者の裁量になるのかどうかも論点に入れていただきたい。
  • 審査支払機関で事務を行う場合の検討にあたっては、審査支払機関の実態や意見も考慮したうえで検討していただきたい。
  • 基本方針や事務フローの標準化には苦労が多いことと思う。審査のあり方についても十分な議論が必要。
  • 柔整療養費の不適切な請求は一見しただけではわからないものが多いという点も考慮に入れるべき。柔整審査委員会のあり方についてもあわせて検討が必要。
  • コンピュータチェックにもルールが必要。1部位目からしっかり負傷原因を書く等のルール変更も検討事項に入れていただきたい。
  • 過誤調整の取扱いは早期に解決しなければならない問題と考える。各団体との調整が必要ではないか。柔軟に検討されたい。
  • 過誤調整の取扱いは事務フローにも影響を与えるため、法的根拠の整理が最優先ではないか。柔道整復師の場合、単価が低いため不支給決定した場合に過誤調整しきれるのか、焦げ付きが発生する可能性も懸念される。
  • 署名には受療の事実確認、申請内容を確認したことの証明、受領委任の依頼という3つの意味合いがあり、必ずシステムに反映させるべき。
  • 紙請求とオンライン請求を併用する期間を設けるべきではないと考える。併用する期間を区切ったとしても、審査支払機関においては並行して2つの仕組みを設ける必要があり、人的にも費用的にも負担がかかる。十分な準備期間をもって、くれぐれも無理のないスケジュールでの検討をお願いしたい。
  • 原則、紙請求による請求が廃止されて提出・入金の流れが変わってしまうのは、復委任団体にとっては死活問題。柔軟な対応をお願いしたい。
  • 紙請求を廃止できない施術所が必ず出てくると思う。その場合にどう対応するのかも予め検討すべきではないか。

2.システム基盤について

  • 将来的に医療DXに繋がっていくような拡張性のある仕組みを視野に入れて検討を進めるべき。
  • 施術所管理と復委任のあり方という部分で、経過措置期間を設けずペーパーレスに移行する方向で進んでいるように感じている。例外なく完全にオンライン化されるのであれば、支給申請にあたっては我々のような復委任団体を活用していただきたい。復委任団体を活用することで施術所は従来通りの請求で済み、初期費用が抑えられる。
  • 復委任の扱いについては明確に整理すべき。どういう団体を認めてどういう団体を認めないのかという議論になるのか、復委任団体は一律に認めないとするのか、そういった議論も必要。

3.費用負担等について

  • オンライン請求導入に係る初期費用は国が負担すべき。療養の給付における医療機関と異なり、受領委任は施術者にもメリットがある仕組みであるということも考慮して、ランニングコストをどうするのかということも含めて検討すべき。

4.工程表の策定等について

  • 基本方針や事務フロー、審査のあり方については後々の議論を行ううえで大前提となる部分であるため、他の議論に先立つ必要があるのではないか。

今回の議論を踏まえ、ワーキンググループでは引き続きオンライン請求導入に係る課題等の整理・検討が進められることとなる。

次回の専門委員会の開催日程は未定となっている。

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