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史上最悪の介護保険改定を許さない!院内集会

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史上最悪の介護保険改定を許さない!院内集会

2022年11月18日(金)14:00から衆議院議員第一議員会館・大会議室でハイブリッド開催された。第1部の院内集会は上野千鶴子氏(認定NPO法人ウイメンズアクションネットワーク)と柳本文貴氏(NPO法人グレースケア機構)が司会を務めた。

初めにNPO法人暮らしネット・えんの小島美里氏

初めにNPO法人暮らしネット・えんの小島美里氏が趣旨説明を行った後、〝今日この会場に200人未満の人が集い、ウエブでは5000人の方が視聴してくださっている。WEBのほうでも拡げて頂きたい〟等、話した。

NPO法人澁谷介護サポートの服部万里子氏〈リモート〉「介護保険、どこが危機か?」と題して〝介護保険は2000年から始まりましたが、6回法律が変わりました。介護報酬に関してはマイナス改定が多く、所謂基本単科が上がっていないのが現状です。令和4年度12月に厚生労働省が介護保険の改正案を厚生労働委員会で決定する動きになっている。介護保険の利用者を2割負担にする、ケアマネージメントに自己負担を導入する、施設ショートステイの多床室に部屋代を入れる、区分至急限度額の外に入っていた加算を区分支給限度額の中に戻す、介護度1・2の訪問介護、デイサービスを地域支援事業、市町村事業に移す、軽度者に関する居宅療養管理に関しては条件をつけるとなっています。いま9割の方が1割負担です。介護保険の標準を2割にすれば、9割の方が2倍の負担になります。いま年金が下がり物価が上がっています。そういう中で2割負担になれば、サービスを減らさざるをえない人が出てきます。こういうことで果たして高齢者の尊厳を守る、望む暮らしが出来るのでしょうか。介護保険は一貫して黒字で、赤字になっていません。介護保険は40歳以上の方が死ぬまで保険料を払っています。100歳になっても保険料を払い続けているのです。高齢の人が増えれば払う人も増え続けるということで介護保険は黒字です。介護度1、介護度2は介護認定で37%にあたり、市町村が介護が必要だと認定された方で軽度ではない。一人夜勤をなくそうという訴えがある現状の中で更に介護職を減らそうという全く真逆のことをしようとしているのです。是非とも介護保険の改悪を許さないということを皆さんで行動に移していきたいと思います。頑張りましょう!〟等、基調報告を行った。

一人5分厳守の中でのスピーチ

大熊由紀子氏(国際医療福祉大学院教授)

大熊由紀子氏

〝母が90歳で悪性リンパ腫、要介護4でした。母は93歳から95歳まで病院に入らず自宅でみとることが出来たのは介護保険の前の制度であったからです〟等、述べた後、介護保険制度改悪について、財務省を隠れ蓑に給付削減しか考えない財務省、財務省を説得できない厚生労働省、住民の願いに沿った介護保険サービスを整備できない保険者(市町村)、介護職を粗末に扱う介護事業者、認知症で経営安定をはかる精神病院、ケアの本質を理解せず、ロボットで人手を減らせると錯覚している人々、介護保険第1条の「連帯」を忘れている私たち、等を解説。また「フタンフタンと騒ぐなオトコ、介護はオンナが体でフタン」と介護保険スタート時の樋口恵子さんの言葉を紹介した。

〈リモート・富山からの発言〉
惣万佳代子氏(NPO法人この指とーまれ)/阪井由佳子氏(NPO法人デイケアハウスにぎやか)/高口光子氏(元気がでる介護研究所)

〝富山では大正時代に米騒動がありました。私たち富山介護ネットの仲間は介護騒動を起こしたいと思っています。何が許せないかといったら国は、介護保険の初心を忘れたのか!と言いたい。何故必要なサービスを提供する議論にならないのか?もっと国の人達は考えてほしい。国に金が無いのではなく、私は理念が無いと思っています。デイサービスの利用者の50%が介護度1・2の人が多い。利用者が半分いなくなる。小さなデイサービスは殆ど潰れるのではないか。もう1つ、介護福祉士の学校が定員割れをしています。応募してくる人は定員の50%以下です。何故か?仕事も大変、給料が低いということ。最後に介護の質を低くするのではなく、私たちはこれからも良い介護をしたいのです。〝良い介護をつぶすな~良い介護を止めるな~!!〟と、惣万氏、阪井氏、高口氏の3人が絶叫して終了。

佐々木淳氏(医療法人社団悠翔会)

佐々木淳氏

〝東京を中心に在宅医療を提供しています。私自身は医師ですが高齢者ケア全般の仕事をさせていただいている。沢山の介護を見てきました。ご存知のように人手不足です。業務負担に応じた報酬が払われていない現状がある。給料が安いから人が見つからない。悪循環になっている。絶対的に介護報酬が低すぎると私は思います。2050年には介護職280万人必要と言われています。60万人足りません。現在の報酬レベルでは、介護の人に来てもらうことも出来ません。賃上げをするということです〟等、発言。

〈リモート発言〉
石田路子氏(NPO法人高齢社会をよくする女性の会)

〝今回の制度改正に関しては、どんだけ高齢者からの負担を引き上げるかというのが焦点になっていることは明らかです。現在、物価が高騰し続けており、私たちの日常生活を直撃しております。日々の暮らしの維持に加え、医療ニーズが高まり、介護サービスの必要性も加わってくる高齢者について一定以上の所得があると判断するラインは一体どこにあるのか?このラインはまさにデッドラインと言っても良いと思います。介護保険は、高齢者の生活の安心を保証するために出来た制度です。高齢者の生活を脅かすものであっては絶対になりません。1年間を200万で生活している単身高齢者が一定以上の所得があると言えるのかどうか、これを押し通すことで介護保険サービスの利用を諦めてしまうような人が出てくるようであれば、介護保険が大きく後退してしまうと言わざるを得ません。そんなことが無いように現実の高齢者の生活実態をしっかり把握した上でこの判断基準を考えて頂きたい〟。

六車由実氏(有限会社ユニット・デイサービスすまいるほーむ)メッセージ代読

〝通所型サービスを居場所や通いの場と言ったりしますが、ただ人が集まればそうした場が出来る訳ではありません。利用者さん同士や家族との繋がりを結ぶためには、様々な知識やニーズを常に学び続けている専門職による仕掛けや場作りが必要です。其々が抱える困難にもチームが継続的にかかわり、時間をかけて介護をしていかなければなりません。要介護1・2の総合事業への移行は利用者さんにとっても事業所にとっても不幸なことですし、それは介護保険制度が目指していた介護の社会化の崩壊をもたらすことになるのではないでしょうか。高齢者ケアの本質を見失っている今の介護保険制度では希望も何も感じられません。このような思いを抱えながらも現場では利用者さんと向き合うことを続けていくことをやめる訳にはいきません。もう一度原点に立ち返り介護保険制度の目指す在り方について介護を受ける当事者らと現場の介護者を交えて議論を重ねていく場が出来ることを願っています〟。

「こんな介護保険に誰がした。制度設計に根本的にミスがある!」と言って国を相手取って訴訟を起こされた3人の原告、藤原るかさん、伊藤みどりさん、佐藤雅子さんによる寸劇が行われた。

「ヘルパー不足は国の責任!ヘルパーは奴隷じゃないぞ~!一緒に戦おう!戦ってくださーい!!」 ホームヘルパー国賠裁判を支援する会
ヘルパー不足は国の責任!ヘルパーは奴隷じゃないぞ~!一緒に戦おう!戦ってくださーい!!」
ホームヘルパー国賠裁判を支援する会

〈リモート発言〉
結城康博氏(淑徳大学教授・社会保障政策)

〝私も7,8年前に介護保険部会にいましたが、基本的には介護保険の中でお金の帳尻を合わせるという議論がずっと続いています。ただそれでは正直言うと負担を増大させるか、サービスをカットするしかないんです。ですからどうやって介護保険にかなりの財源を入れるかという理論武装をしっかりしていかないといけないと思います。日本の経済のことを考えてもう1個のロジックを作っていく。例えば、今介護職員だけでも約220万人居ます。全国の1700の市町村の中では、人口2万人以下の町は沢山あります。例えば介護保険に沢山お金を出すということは、その働いている人達の消費行動を上げることにもなり、雇用をもっと創出していることになり、実は介護保険というのは、要介護者やご家族のためと同時に地域地域の経済の根幹をなしている産業になります。地域の経済の柱になりつつあるこの福祉産業、介護産業を盛り立てていく。経済政策の視点で介護を充実させて日本の地域経済を守るというような、運動や理論武装のロジックを立てていきたい。是非皆さんと一緒に協力して私も研究を続けていきたい〟。

石井英寿氏(宅老所石井さん家)

石井英寿氏

〝赤ちゃんからお年寄りまでごちゃ混ぜケアをやっております。惣万佳代子さんや三好春樹さんに影響されて独立しました。認知症状のある人を数値化していくこと自体どうかと思います。子どもとかお年寄り、障がいを持っている人達にどうもこの国は優しくない国だという風に思っています。本当に優しい国というのは所謂弱者に対して支援していくのが優しい豊かな国であると思っています。いま、シングルママ、ヤングケアラーとか老々介護とか、生きづらさを抱えている人が多い。それを社会みんなで支えていかないで家族のせいにしたりとか、事業所が悪いとか、そんなのなんだよって言いたい〟。最後に〝介護は現場で起きるんだ~〟と述べた。

〈リモート発言〉
春日キスヨ氏(社会学者)

〝私が住んでいる広島のような地域では、ボランティア等の地域活動の担い手が少ない。住民主体型生活支援サービス事業は、住民主体の地域づくりの担い手、其処に集まっている方達を介護保険に取り込む形で進められています。決して介護保険だけの問題にはとどまらないということ。国は多世代共生社会の中で介護の問題については、担い手創立手段としての「いきいきポイント事業」というようなことを打ち出してきていますが、それによって地域の担い手が果たして増えるのか?寧ろ逆ではないのかというお話をさせて頂きたい。介護保険で多様な主体、ボランティア、NPOとかいう風に言われますが、この既存団体、既に地域でボランティアとして担ってきた方々が横滑りする形で其処に組み入れられており、介護保険で始まった取組みで新しい活動家が居るかといえば非常に少ない。その結果、活動する人達が数か所の世話人を掛け持ちする、支援者として担うという状況が生まれています。この活動家、支援者っていうのが過労になり固定化しており、高齢化が進んで、もう次の引き受け手がいないという形で人材が枯渇しています。そのために介護保険予算合計1016億、地域支援事業費約66億(うち、いきいきポイント事業費約8億)。地域支援事業費のほぼ13%にあたる8億というお金が使われています。総合事業化という形で地域の資源を使うというのは誤りで、私は先ほど結城教授が言われた方向が推し進められるべきだと考えます〟。

久保遼太郎氏(東京医労連)

久保遼太郎氏

〝私たち介護職は日々利用者さんに寄り添った介護をしたいといった理想や思いを胸に秘めて職務にあたっていますが、そういうことが中々叶えられないという苦しさを抱えています。個人の努力や職場の努力だけではどうにもならない。人員不足の問題も、コロナ禍以前の問題でもあるが、食事介助、入浴介助、排泄介助等の業務に追われてしまって休憩時間さえもてないといった状況もあります。人がギリギリという中でコロナ禍で更に感染対策を強化して業務が増加しています。職員が一人、例えば体調不良を訴えれば、或いはコロナ陽性になってしまったということになれば、ただでさえギリゴリで回している現場の状況が更に厳しくなって何度も何度もシフトを替えながら残された職員で頑張るしかない。一人で10人の人を介助したという人もいました。ICTとか介護ロボットを入れて改善できる問題ではない。根本的にしっかりと配置人数を増やして介護職員の人数を増やしていかないと解決できない問題です。それが解決出来ないと安全、安心の介護は実現できないと思っています。人員配置も凄く逼迫している中で利用者さんの命と生活を守るために奮闘しています。それなのに介護職の賃金は未だにかなり低いのが実態です。ここを改善しなければ介護職は増えていかない。今国がやっていることは処遇改善のお金を利用者負担に転嫁している、これが私たちは非常に許せない。本来であれば、私たちがやりたい介護と利用者さんが受けたい介護は同じもので同じ方向を向いて歩いていける筈なのにそこが分断されているということにとても怒りを感じています。介護労働者として、現場からの声を沢山上げていきたい。共に頑張っていきたい〟。

〈リモート発言〉
櫻庭葉子氏(京都ヘルパー連絡会)

〝ホームヘルパーの人手不足は深刻です。これに追い打ちをかけるコロナ禍、心身ともに疲れホームヘルパーは疲労しきっています。22年間で幾度となく訪問介護は制度改悪をされ使いにくいものにさせられています。そこにまた次期介護保険制度改悪、今度は要介護1・2までも地域支援事業に移行との案が出されているとか、どこまでも在宅介護を国は潰したいのですか。ヘルパーの生活援助は誰にでも出来る仕事なのでしょうか。利用者の思いや拘りに配慮しながら表情や声、部屋やトイレの汚れ具合、冷蔵庫の中身、食事はとれているか、着替えは出来ているか等、適切な対応をなにげなくする援助は簡単に誰もが出来る仕事ではありません。介護保険が始まって22年、週に1回ホームヘルパーが行くことで今の生活が維持できている利用者様は沢山います。ホームヘルパーの人材確保と質を担保し、ホームヘルパーが食べていけるだけの賃金を保証することです。他職種との格差は縮まらず、若い人が希望を持てる仕事ではありません。新たな担い手はなく、今働いているヘルパーも高齢化し、介護の質を維持することが出来るのか不安しかありません。もう本当に毎日毎日緊張感でヘルパーの心も体もくたくたです。皆さん真剣に考えてください。財源ありき、痛みをともなうことが必要な介護保険制度を決して許してはいけないと思います。軍事費2倍のお金があるなら社会保障も介護保険制度に財源を投入すべきです。年を重ねても病気になっても安心して暮らせる社会にしていくには在宅介護の要でもあるホームヘルパーの存在は欠かせません。今こそ介護保険制度の原点に戻るべきです。利用者の尊厳の保持、介護の社会化、私たちはこれを強く訴えて今日の発言とさせて頂きます〟。

花俣ふみ代氏(公益社団法人認知症人と家族の会副代表理事)

花俣ふみ代氏

〝介護保険部会の委員もしております。介護保険部会の発言時間も5分です。皆さん今5分でしたね。これで議論を尽くせというのは土台無理な話ですが、署名活動の進捗状況と署名推進についてご報告します。2本立てで8万票の取組みを開始して参りました。2か月経って紙の署名は11月16日現在で2万249人。オンライン署名は4万3942人、合計で6万4191人集まっています。最終的な議論が行われる28日以前に一時提出として厚生労働局長に直接渡すことを予定しています。併せて地方議会、12月議会に向けての働きかけとして市町村議会議長宛に介護保険制度改正反対の意見書を提出を行います〟等報告。〝この署名活動の輪を更にひろげて次期介護保険制度改正案を阻止していきたい。既に署名活動に賛同いただいた皆様に是非更なる拡散をお願いします〟と署名キャンペーンのアピールを行った。

☆最後に樋口恵子氏(NPO法人高齢社会をよくする女性の会)が3つの団体を代表して抗議声明文を読み上げた。

史上最悪の介護保険改定を許さない!!抗議声明

介護保険は今年22歳。誕生以来「被虐待児」だったと言われるほど、「改悪」に次ぐ「改悪」が続き、利用者にとっても事業者にとっても使い勝手が悪くなってきたことを私たちは実感しています。今回の改定はなかでも「史上最悪」と言ってよいほどのものです。
国は次期介護保険改定に向けて着々と準備を進めてきました。コロナ禍のもとでの介護職の奮闘すら省みず、国は衆参2つの国政選挙を経た安定政権をもとに、ついに介護サービス圧縮と利用者負担の増大満載の改定案を提示しました。年末までに社会保障審議会介護保険部会の結論が出され、来年1月には閣議決定、令和5年度(2023年度)の通常国会で審議・成立というスケジュールです。
老後の安心を掘り崩すこの改定案をこのまま成立させてはなりません。私たち、介護保険の利用者、家族、事業者、介護職、医療・看護など関連の専門職はこの介護保険「改悪」に強く反対し、抗議します。

【私たちは以下の改悪に反対します。】

1.自己負担2割を標準にするな
現状の1割負担でも経済的に苦しくサービス利用を削る人がいます。また認定を受けた25%の人がサービス利用に至っていません。2割負担を標準にすれば、多くの人が必要なサービス利用を減らす、最初からあきらめるなど、「保険あって介護なし」の事態が起きるのは火を見るよりも明らかです。
高齢者の貧困率は2割を超え、年金は減る一方、昨今の物価高で生活費は高騰しています。負担増よりむしろ負担減が必要な状況です。

2.要介護1・2の訪問介護、通所介護を地域支援・総合事業に移すな
要介護1・2は決して軽度者ではありません。介護サービス利用理由のトップである認知症がある人も、このランクの人々が最も配慮が必要な時期です。市町村による総合事業に移行すると、訪問型サービス従事者は数日間の研修受講で介護の提供が可能になり、適切な支援ができるとは考えられません。
また、要介護認定者に対する介護給付は保険者の義務ですが、「事業」は予算の範囲内で提供するのが原則です。ゆえに上限に達したらサービスを受けることができないことも起きえます。
そして、これまでの要支援者に対する「事業」は、提供者、従事者が不足し機能していない自治体が多いのが現実です。

3.ケアプランを有料にするな
ケアマネジャーが提供するケアマネジメントは、介護保険サービスの入り口です。入り口からお金がかかることで要介護認定を受けても介護保険を利用することへのハードルが上がるでしょう。また有料にすれば適切なケアプランを提案するよりも、利用者や家族に迎合するケアマネが増えることが懸念されます。
ケアマネジャーの役割は、介護サービス利用のためのプラン作成にとどまらず、孤立を防ぐ、虐待を防止する、在宅介護の限界を見極めるなど多岐にわたります。定期的な訪問により、介護が必要な人の心身の状態を確かめ、ケアプランの見直しなどを提案する、在宅・施設を通じて介護保険サービス提供の根幹となるものです。この過程で、医療・福祉・地域の社会資源との連携が必須のソーシャルワーク機能を果たす介護保険にとどまらない視点を求められる業務なのです。

4.福祉用具の一部をレンタルから買い取りにするな
「単価の安い福祉用具」をレンタルから買い取りに変えることは、用具の正しい使い方指導、個人に合わせた用具の調整や定期的な点検が失われることにつながります。また、レンタルであれば状態の変化で適切な用具に変更できたものが、不適切になった用具を使い続ける、不要になった用具が自宅にしまい込まれるなど、資源の無駄遣いが発生します。

5.施設にロボットを導入して職員配置を減らすな
今回の改定には具体的に入っていませんが、AIやICTの導入によって介護施設の職員配置基準を今の3対1から4対1にしようと、実証実験が始まっています。ロボット化を推進したからといって、配置基準を減らす理由にはならず、施設の人手不足に配置基準を緩和することで対応する奇策は許されません。現在でも離職率が高く人手不足に悩む施設介護の配置基準を減らせば、今以上に介護職員の負担を増し、介護の質の低下を招き、介護現場の労働破壊をもたらすでしょう。

介護保険制度は施行以来、改定のたびに制度が複雑化し、使い勝手は悪くなり、介護職員の求人倍率は群を抜いています。もはや「おうちに放置される」ことさえ現実味を帯びてきました。団塊の世代全員が後期高齢者になる2025年まであと2年、こんな制度改悪は断じて許すことはできません。今一度、介護保険が「だれひとり置き去りにしない」制度として、利用者、家族並びに働く人々に安心と安全を保障することを、心から求めます。

 2022年11月18日               

 「史上最悪の介護保険改定を許さない!!」連続アクション参加者一同

樋口氏は〝喜んでください。4番の福祉用具については撤回されました〟と報告し、最後に〝私たちは世界に稀な介護保険制度のある国であるということを誇りに思い、介護の社会化を守り通す初代の市民であるということに誇りを持ち今日の集いはその第一歩です。野垂死にではなく家垂死にという、家に放置されて死んでいく高齢者がこれから増えるのではないのか。人間は生まれた時から人のケアを受けなければ生きられません。そして人のケアを受けなければ無事にあの世に行くことも出来ないのです。このようなケアというものを社会の中枢にキチンと置き直して生活を立てる。キチンとした政策研究を国民の一人として望みます〟と結んだ。この後、記者会見が行われ終了した。

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