柔道整復師と介護福祉【第111回:介護保険の基礎知識ver8】
介護報酬改定のポイントvol.4
制度の安定性・持続可能性の確保
「制度の安定性・持続可能性の確保」では、以下のような視点で改定の議論が行われました。
- 保険料・公費・利用者負担で支えられている介護保険制度の安定性・持続可能性を高めていくことで、若年層から高齢者まで全ての世代にとって安心できる制度としていくこと
- 全世代型社会保障の基本理念に基づき、サービス提供の実態を十分に鑑みながら、利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、評価の適正化・重点化、報酬体系の整理・簡素化を進めていくこと
このような視点に基づいて議論が行われ、以下の改定の内容について審議報告が行われています。
審議報告①:評価の適正化・重点化
- 訪問介護における同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
- 理学療法士等による訪問看護の評価の見直し
- 短期入所生活介護における長期利用の適正化
- 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
- 多床室の室料負担
審議報告②:報酬の整理・簡素化
- 運動器機能向上加算の基本報酬への包括化
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬の見直し
- 経過的小規模介護老人福祉施設等の範囲の見直し
- 認知症情報提供加算の廃止
- 地域連携診療計画情報提供加算の廃止
- 長期療養生活移行加算の廃止
介護報酬改定のポイントvol.5
制度の安定性・持続可能性の確保
その他、以下の改定の内容について審議報告が行われています。
「書面掲示」規制の見直し
- 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
- 特別地域加算の対象地域の見直し
- 居宅療養管理指導における高齢者虐待防止措置及び業務継続計画の策定等に係る経過措置期間の延長
- 通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化
- 看護小規模多機能型居宅介護におけるサービス内容の明確化
- 基準費用額(居住費)の見直し
- 地域区分
今回の改訂懸念点
厚生労働省は、事前の経営実態調査で訪問介護事業所の平均利益率が7.8%と良好だったことを基本料下げの理由に挙げる。日本ホームヘルパー協会によると、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など複数経営し、入居者を短時間に効率良く訪問できるケースは利益率が高くなりやすい。一方、一軒一軒時間をかけて巡回する事業所は経営が苦しくなりがちだ。県内に多い離島や郡部の事業所は「引き下げの影響がより大きくなるのでは」と松下会長は懸念する。各県支部では、報酬改定を受け県内約150カ所を対象に緊急アンケートを実施。「基本料引き下げは、国が掲げる在宅移行に相反する」「人材確保のため給与上げを考えていたが、今回の改定では厳しい」などの声が寄せられている。改定ではヘルパーの賃上げを実施した事業所に対し、報酬を最大24.5%加算する。厚労省は、基本料が減っても加算分を受け取れると説明する。しかし事業所の収入全体に対して加算する仕組みのため、基本料引き下げで減収になれば加算額も増えない。「賃上げどころか、雇用の維持も難しくなる」と疑問視する。
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