柔道整復師と介護福祉【第131回:介護保険サービスの基礎知識ver8】

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介護保険改正で福祉用具はどう変わる?9割が知らない受領委任払い制度とは?
介護保険制度における福祉用具の購入や貸与について、あなたは本当に正しく理解していますか?実は、多くの方が知らないまま損をしている可能性があります。2025年4月から始まった受領委任払い制度により、これまで一時的に全額を自己負担していた福祉用具購入の仕組みが大きく変わりました。ここでは、介護保険改正に伴う福祉用具購入・貸与の最新情報を、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
介護保険における福祉用具とは?

介護保険で利用できる福祉用具には、購入できるものとレンタル(貸与)できるものの2種類があります。この違いを正しく理解することが、介護保険を有効活用する第一歩となります。福祉用具購入の対象となるのは、主に入浴や排泄に関わる衛生面から他人との共用が難しい用具です。具体的には、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽などが該当します。一方、レンタルできる福祉用具には、車いす、特殊寝台(介護ベッド)、歩行器、手すりなど、繰り返し使用できるものが含まれます。
ここで重要なのは、必ず都道府県知事の指定を受けた事業所から購入・レンタルする必要があるという点です。ホームセンターや通販サイトで同じような商品が売られていても、指定事業所以外から購入したものは介護保険の支給対象外となってしまいます。これは多くの方が見落としがちなポイントですので、十分に注意してください。
2025年4月スタート!受領委任払い制度で何が変わったのか?
従来の償還払い方式の課題

これまで福祉用具を購入する際は、償還払い方式が採用されていました。この方式では、利用者がいったん購入費用の全額を事業所に支払い、後日、市区町村に申請することで自己負担分(1~3割)を除いた金額が払い戻されるという仕組みでした。
受領委任払い制度のメリットとは?
2025年4月から導入された受領委任払い制度は、この課題を解決する画期的な仕組みです。この制度では、利用者は購入時に自己負担分のみを支払えばよく、残りの金額は市区町村が直接事業所に支払います。
特別地域加算の対象地域の見直しとは?
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行うことになります。
福祉用具購入で失敗しないための重要ポイントとは?
年間支給限度額は10万円まで!
福祉用具購入費の支給限度額は、同一年度(4月から翌年3月まで)で10万円と定められています。この10万円は購入価格の総額であり、自己負担分を除いた金額ではありません。たとえば1割負担の方が10万円分の福祉用具を購入した場合、実際に支払うのは1万円ですが、年度内の限度額はこれで使い切ったことになります。複数の福祉用具が必要な場合は、優先順位をつけて計画的に購入することが大切です。また、年度をまたいで購入すれば、再び10万円の限度額が利用できるようになります。
事前相談が絶対に必要な理由とは?
福祉用具を購入する際、多くの方が犯しがちな失敗が「先に購入してから相談する」というパターンです。これは絶対に避けなければなりません。介護保険の支給を受けるためには、購入前に福祉用具専門相談員による販売計画書とケアマネージャーによる居宅サービス計画書の作成が必須となります。これらの書類がなければ、たとえ指定事業所から購入したとしても、介護保険の支給は受けられません。福祉用具専門相談員は、利用者の身体状況や生活環境を詳しく評価し、最適な福祉用具を提案してくれます。また、使い方の指導やアフターフォローも行ってくれるため、安心して使用することができます。
要介護度別・福祉用具貸与の利用制限と例外給付とは?
軽度者への貸与制限とその理由?
福祉用具貸与には、要介護度によって利用できる種目に制限があります。特に要支援1から要介護1の方(いわゆる軽度者)については、車いす、特殊寝台、床ずれ予防用具、認知症徘徊感知器、移動用リフトなど、重度者向けの福祉用具は原則として貸与の対象外となっています。これは、過度な福祉用具の使用が、かえって本人の身体機能の低下を招く可能性があるためです。たとえば、まだ自力で歩行できる方が安易に車いすを使用すると、筋力が衰えて歩行能力がさらに低下してしまう恐れがあります。
購入とレンタル、どちらを選ぶべきか?
福祉用具の中には、固定用スロープ、歩行器、歩行補助杖のように、購入とレンタルの両方が可能なものがあります。どちらを選ぶべきかは、利用期間や身体状況の変化の見込みによって判断します。短期間の利用が見込まれる場合や、身体状況が変化する可能性が高い場合は、レンタルが適しています。たとえば、骨折後のリハビリ期間中に一時的に歩行器が必要な場合などです。レンタルなら、不要になったらすぐに返却でき、状況に応じて別の用具に変更することも容易です。一方、長期間の使用が確実で、身体状況も安定している場合は購入が経済的です。また、自分専用のものを使いたいという心理的な安心感も購入のメリットと言えるでしょう。どちらが適切かわからない場合は、福祉用具専門相談員やケアマネージャーに相談して、最適な選択をしましょう。
同じ種目の福祉用具を再購入できるケースとは?
原則として、同一年度内に同じ種目の福祉用具を複数回購入することはできません。しかし、特別な事情がある場合には例外が認められます。再購入が認められる主なケースは、通常の使用方法で著しく破損し、継続使用に危険が伴う場合や、要介護度が大幅に上がり、現在の福祉用具では対応できなくなった場合です。たとえば、入浴用の椅子が破損して安全に使用できなくなった場合や、要介護1から要介護4に変更となり、より介護度の高い方向けの入浴補助用具が必要になった場合などが該当します。ただし、再購入の承認には市区町村の判断が必要です。破損の状況を写真で記録しておく、主治医の意見書を準備するなど、必要性を証明できる資料を整えておくとスムーズに手続きが進みます。
介護保険改正と福祉用具に関する疑問解決とは?
通販サイトで安く買った福祉用具は対象になりますか?
残念ながら、通販サイトやホームセンターで購入した福祉用具は、たとえ同じ製品であっても介護保険の支給対象外となります。介護保険の適用を受けるには、都道府県知事の指定を受けた福祉用具販売事業所から購入し、福祉用具専門相談員による販売計画書の作成が必要不可欠です。一見、通販の方が安く見えても、介護保険適用後の自己負担と比較すると、結果的に高くつくことがほとんどです。
ケアマネージャーとの契約は必須ですか?

福祉用具購入費の支給申請には、ケアマネージャーが作成する居宅サービス計画書等が必要となります。また、福祉用具貸与を利用する場合は、ケアマネージャーが必要性を確認してケアプランに位置づける必要があります。したがって、介護保険サービスを利用する際は、ケアマネージャーとの契約が事実上必須となります。ケアマネージャーは介護保険サービス全体のコーディネーターとして、あなたの生活をトータルでサポートしてくれる心強い存在です。
受領委任払い制度はすべての事業所で利用できますか?

受領委任払い制度を利用するには、事業所が市区町村に登録している必要があります。2025年4月から制度が開始されましたが、すべての事業所が即座に対応しているわけではありません。福祉用具を購入する際は、事前に事業所が受領委任払いに対応しているか確認しましょう。対応していない場合は、従来の償還払い方式での購入となります。
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