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柔道整復師と介護福祉【第135回:介護保険サービスの基礎知識ver12】

柔道整復師と介護福祉 特集

処遇改善加算の新方針

厚生労働省は2026年3月4日、「介護保険最新情報Vol.1474」として、令和8年度の介護職員等処遇改善加算に関する基本的な考え方や事務処理手順を記した文書案を公表しました。

最大のポイントは、賃金改善は「基本給による改善が望ましい」と明記されたことです。従来の処遇改善加算では、手当や一時金として支給する事業所も多く見られましたが、今回の方針では安定的な処遇改善の観点から、基本給(ベースアップ)による賃金改善を基本とするよう求めています。

新方針の3つの柱

今回の改定は以下の3点が大きな柱となっています。

  1. 基本給重視の賃上げルール:令和7年度と比較して増加した加算額については、ベースアップ(賃金表の改訂による基本給等の一律引き上げ)により行うことを基本とする
  2. 対象範囲の拡大:従来の「介護職員」から「介護従事者全体」へ。訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援なども新たに対象
  3. 生産性向上への上乗せ評価:ICT活用やケアプランデータ連携システム導入など、生産性向上に取り組む事業所に対して追加の加算区分(Iロ・IIロ)を新設

※2026年6月の施行までの間(2025年12月〜2026年5月)は、つなぎ措置として補助金による賃上げ支援が実施されています(厚生労働省「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」)。

賃上げ額と加算率

区分月額目安対象性質条件・補足
基本賃上げ(A)約10,000円主に介護職員(※配分は事業所裁量)必須配分(ベースアップ)処遇改善加算を取得した場合に確保が求められる水準
上乗せ措置(B)約7,000円主に介護職員加算配分(任意要素あり)生産性向上・ICT活用・協働化等の取り組みが前提
定期昇給分約2,000円介護職員事業所裁量(国施策ではない)昇給制度がある場合の想定値
合計(最大)約19,000円介護職員モデルケース全ての条件を満たし、適切に配分した場合の上限目安

ただし、上乗せ措置(B)の月7,000円を得るには、事業所が生産性向上等の追加要件を満たす必要があります。また定期昇給分の2,000円は制度的な保証ではなく、例年の事業所努力による昇給見込み額です。すべての介護職員に自動的に19,000円が支給されるわけではない点に注意が必要です。

サービス別の加算率一覧(令和8年6月以降の主な例)

以下は訪問介護の加算率です。他のサービスも同様に引き上げられます。

加算区分加算率主な要件
加算Ⅰ(イ)27.0%キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ+職場環境改善(28項目中2区分以上)+年収440万円以上の介護職員1名以上
加算Ⅰ(ロ)※新設28.7%加算Ⅰ(イ)の要件+ケアプランデータ連携システムへの加入等
加算Ⅱ(イ)24.9%キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ+職場環境改善+年収440万円以上の介護職員1名以上
加算Ⅱ(ロ)※新設26.6%加算Ⅱ(イ)の要件+ケアプランデータ連携システムへの加入等
加算Ⅲ20.7%キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ+職場環境改善
加算Ⅳ17.0%月額賃金改善要件+キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境改善

介護従事者が確認すべき5つのポイント

新設された「ロ」区分は、生産性向上に取り組む事業所を評価するもので、「イ」に比べて1.7ポイント高い加算率が設定されています(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1474」令和8年3月4日)。

1.事業所が処遇改善加算を算定しているか

処遇改善加算は事業所が申請しなければ受け取れません。厚労省の通知によれば、事務手続きの煩雑さから算定を断念する事業所も存在します。自分の職場がどの区分(I〜IV)の加算を取得しているかを確認してください。情報は「介護サービス情報公表システム」で公開されています。

2.加算分がきちんと給与に反映されているか

処遇改善加算の算定額は、全額を職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。給与明細に「処遇改善手当」などの項目で記載されているかを確認しましょう。不明な場合は事業所に説明を求める権利があります。厚労省の通知でも、職員から求められた場合は資料を用いてわかりやすく説明することが義務付けられています。

3.賃上げが基本給に反映されるか、手当・一時金か

今回の新方針では「ベースアップが基本」とされましたが、例外規定もあります。事業所の就業規則や賃金規程で、処遇改善加算の増額分がどの賃金項目に充てられるのかを確認してください。基本給に反映される事業所ほど、長期的に有利です。

4.上乗せ措置(月7,000円)の対象になるか

月7,000円の上乗せは、事業所が以下の取り組みを行っている場合に限られます。

  • 訪問・通所サービス等:ケアプランデータ連携システムへの加入
  • 施設・居住サービス等:生産性向上推進体制加算I又はIIの取得
  • 社会福祉連携推進法人への所属

転職先を選ぶ際は、これらの取り組みを実施している(または予定している)事業所かどうかが、給与に直結するチェックポイントになります。

5.経験・資格に応じた配分ルールを確認する

厚労省の通知では、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善が重要であることに留意するよう求めています。一方で、職種間の配分は事業所の裁量に委ねられています。介護福祉士の資格を持つ方は、経験加算や資格手当がどのように設定されているか、転職先の賃金テーブルを事前に確認することをおすすめします。

対象サービスの拡大

今回の改定で最も大きな変化の一つが、処遇改善加算の対象が「介護職員」から「介護従事者全体」に拡大されたことです。これにより、これまで対象外だった職種やサービスの従事者も賃上げの恩恵を受けられるようになります。

サービス種別これまで2026年6月以降
訪問看護対象外新たに対象
介護予防訪問看護対象外新たに対象
訪問リハビリテーション対象外新たに対象
介護予防訪問リハビリテーション対象外新たに対象
居宅介護支援(ケアマネジャー)対象外新たに対象
介護予防支援対象外新たに対象
居宅療養管理指導対象外新たに対象
福祉用具貸与(販売)対象外新たに対象
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