保険請求の手引き【第5回:療養費の支給基準 その4】
初検時相談支援料は、平成20年に料金算定の項目として新たに認められたものです。
初検時に50円の料金算定が許された訳ですが、この50円には非常に大切な意味が込められていると編集部では考えています。
当時、この50円の料金算定新項目を設けることにより、柔道整復療養費の総額に対する、いわゆる影響金額は、約8億円と試算されていたようです。
9初検時相談支援料の取扱いについては,以下によること。
(1)初検時において,患者に対し,施術に伴う日常生活等で留意すべき事項等をきめ細やかに説明し,その旨施術録に記載した場合に算定できること。
具体的には,
- 日常生活動作上での励行事項や禁止事項(入浴,歩行,就労制限等)
- 患部の状態や選択される施術方法などの詳細な説明
- 受領委任の取扱いについての説明
- その他,柔道整復飾が必要と認め,懇切丁寧に行う相談支援
とする。
(2)同月内においては,1回のみ算定できること。また,6により初検料のみ算定した場合においては初検時相談支援料は算定できないこと。
初検時相談支援料が新設された当時は、初検時における単に初検料の上乗せ金額だと捉えた柔道整復師の先生も多くおられたと聞いておりますが、その規定には治療(施術)と算定・請求行為の基本中の基本となる施術録(いわゆるカルテ)に記録することの大切さを示し、様々な記録をより多く書き込むことを励行するように示された意図が伺えます。 上記の抜粋にありますように「施術に伴う日常生活等で留意すべき事項等をきめ細やかに説明し、その旨施術録に記載した場合に算定できること。」とあります。
受診者に対して、治療上重要な事項や注意すべき点をきめ細やかに説明した結果、その内容を施術録記載する場合において、単に「入浴について」「歩行について」「電療について」などと記録しておられても、数か月或いは数年経た際に先生方はそのキーワードのような文言から、きめ細やかに説明した内容を詳細に思い出すことができるでしょうか?
施術録の記載は特に昨今のパソコン利用(いわゆるレセコンなど)により、疎かにされがちですが柔道整復の治療や算定の根拠となるのはレセコンに入力されたデータではなく、あくまでも施術録の記載が基本です。例えば受診抑制のごとくのべつ幕なしに行われている返戻屋による受診者調査ですが、受診者による僅かな記憶誤りによる誤回答を生じてもオートマチックに返戻されることが常態化しております。ですが、初検時相談支援を有効活用し算定の根拠となる損傷理論の説明や治療箇所あるいは傷病名についてなど詳細に説明することとを重ねて実施されると受診者と柔道整復師の先生双方に意義あるものといえるのではないでしょうか。
ではここで柔道整復師に対する行政管理者である都道府県・厚生局では、初検時相談支援料の算定について、どのようなスタンスであるのか考えてみたいと思います。
- 算定要件を満たさない初検時相談支援料を不当に請求していた。
- 施術に伴う日常生活等で留意すべき事項等をきめ細やかに説明した旨が施術録に記載がなく、算定要件を満たさないにもかかわらず、初検時相談支援料を不当に請求していた。
- 算定要件を満たしていないにもかかわらず、初検時相談支援料を不正に請求していた。
- 日常生活等の留意事項等を説明した旨が施術録に記載されていないにもかかわらず、療養費(初検時相談支援料)を不当に請求していた。
- 初検時相談支援を行っていないにもかかわらず、初検時相談支援料を不正に請求していた。
これらは指導監査の結果、初検時相談支援料にかかる不正が判明し、指摘をされている主な内容です。いかに施術録の記載内容が詳細に調査され、また算定項目としては比較的重要視されていると言う点が伺えます。
単に50円の算定とあなどることなく、受診者への支援として真摯に対応され、返戻屋対策をも兼ねた大切な対応として、正確な記録を残して頂きたいと願います。
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