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柔道整復師と介護福祉【第15回:病床機能の分化概要】

柔道整復師と介護福祉 特集

2012年2月閣議決定された社会保障・税一体改革において示された2025年の医療提供体制は、今後2年ごとの診療報酬改定と5年ごとに実施される医療計画の見直しを検証しながら実現を目指すこととなります。

2025年での、病床機能の構築完成を視野に入れてスケジュールを検討すると、重要なポイントとなるのが2018年になります。

この年度は、医療・介護同時改定が実施されるのに加えて第7期医療計画がスタートする年で、2025年モデル実現に向けて重要な位置づけとなる年度になります。その前段階として、2014年度から導入が始まるのが「病床機能情報の報告制度」です。

2025年モデルと病床機能再編に関するスケジュール

従来の医療計画の抜本的見直しと報告制度について

従来の医療計画では、二次医療圏における基準病床数に対して一般病床・療養病床の現状を把握し、その過不足のみが示されてきました。しかし、過不足のみでは、病床機能別の需給ギャップを地域別に詳細に判別できません。そこで、次期医療計画(第7期医療計画:2018年度開始)では、 下記の図で示されている仕組み案のように、医療・病床機能についても、患者・住民の視点から、情報として把握できるよう、今までよりも一歩踏み込んだ仕組みが検討されています。

この病床機能の情報収集を行うためのベースデータとなるのが、2014年度から導入される 「病床機能情報の報告制度」になります。

この制度は、現在、厚生労働省の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」で議論が進められており、各病院・有床診療所が有している現在の病床機能と今後の方向性を病棟単位で報告するものになります。

医療機能病床機能報告の仕組み案

病床機能分化のイメージについて

今回の想定にある病床機能分化が進み、2025年モデルが現実になるとは、病床はどう変容することになるか下記の図を参考に説明いたします。 現在一般病床が約90 万床、療養病床が約33 万床となっています。高度急性期への移行は、救命救急医療を提供しているごく一部の病院が移行しますから、多くの一般病床は、一般急性期か亜急性期等へ移行することになります。しかし、下記の図のとおり、高度急性期 から亜急性期等病床は、79万床となっており、機能が明確になっていない病院の一部は、 減床または長期療養への転換が想定されます。

病床機能分化のイメージについて

(1)一般病床の選択肢

7対1一般病棟入院基本料を算定している病院は、問題なく一般急性期に移行することができるでしょう。7対1以外の一般病棟については、選択肢に応じて、現在有している機能の大幅な変更や人員の見直しを進める必要があります。

特に、現在13対1と15対1一般病棟は、選択肢が相当絞り込まれることが想定されます。

一般病床の選択肢

当面は機能の焦点をどこに置くかがポイントになります。 例えば、地域の基幹病院が整形や脳神経外科を「売り」としているのであれば、後方支援機能の充実を図ることを目的としたリハビリテーション医療への特化、あるいは平均在院日数で苦戦している病院においては、障害者病棟をターゲットにするなどの検討が必要です。

(2)亜急性期病棟は動向注視

現在の亜急性期病床は、診療報酬上「亜急性期入院医療管理料」に位置付けられ、病棟単位ではなく病室単位での取得(一般病床の一割が原則)となっているほか、基本的に包括医療(投薬、検査料等)であり、さらに在宅復帰率が6割以上必要など、ハードルは決して低いものではありません。

「亜急性期入院医療管理料」は1万8千床ほどですが、2025年モデルでは26万床として いるため、今後は一般病棟以外にも回復期リハビリテーション病棟や、緩和ケア病棟など含めた整備と統合が進むことが予想されます。

亜急性期病棟は動向注視

特に、上記予測のうち軽度急性期・慢性期救急の位置づけが注目されるポジションであり、施設基準によっては13対1、さらには15対1一般病棟の転換候補となる可能性もあるため、今後の診療報酬改定で最もその動向を注視すべき項目だといえます。

(3)療養病棟の選択肢

療養病棟は、15対1一般病棟からのシフトダウン組と、廃止方針が決定している介護療養病床の経過措置が満了して廃止が決定した場合は、一気に埋まってしまう可能性があります。

また、一般病棟へのシフトアップは、看護師だけではなく医師の増員という大きな問題を抱えており、現実的は厳しいと言わざるを得ません。

一方で、老健への転換という選択肢を検討するケースもあるでしょう。

療養病棟の選択肢

2025年モデルでは、約28 万床が長期療養病棟に充てられるとされていますが、基準病床数については、地域における年齢階層別人口や、入院・入所需要率、介護施設で対応可能数や病床利用率などを勘案して算出されます。

近隣医療機関の療養病床や老健等の設立状況や地域における各種のデータなどを収集・分析できる体制を整備する必要があります。

機能分化が診療報酬改定に与える影響

医療機能・病床機能報告制度の導入で、診療報酬改定が変わる可能性があります。 この報告制度では、単に病床機能のみを自主的に報告するだけではなく、病棟ごとの現状も報告する方向で議論が進められています。

「病床機能情報の報告・提供のあり方に関する検討会」で、報告内容の候補として示されたのが、一部診療内容について報告を求めることも検討されています。 過去、これらの診療データは、改定に反映されていませんでした。

診療報酬改定の入院基本料に、新たにこれらの指標が加味されることも十分考えられます。

機能分化が診療報酬改定に与える影響
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