柔道整復師と介護福祉【第22回:国際化の足並みと外国人材の働く環境整備】
産業競争力会議概要
産業競争力会議とは、自民党・日本経済再生本部の下部組織です。
第2次安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」の第3の矢となる成長戦略の実現に向けた調査審議を目的に設置され、13年1月に第1回目の会合が行われています。 安倍首相が議長を務め、経済閣僚のほか、現役の企業経営者や学識経験者らが議論を行っております。今回の、会議では、今後外国人材の働く環境整備について審議しています。
今後の医療介護の現場に、外国人材が必要とされているのも、人材不足が喫緊課題とされていることから、必要に迫られての決断と言えます。
経済連携協定(EPA)
海外の人材を介護福祉士として養成するための経済連携協定EPA。今、医療介護現場では、人材不足であるという悲鳴が多数出ております。
安倍首相の提言する「介護離職ゼロ」の政策として、介護施設は軒並み増えているのにもかかわらず、そこで働く人材が圧倒的に足りていないのです。
被災地気仙沼で働く外国人材
日本で介護福祉士の資格を取得することを目標に、気仙沼の介護老人保健施設でインドネシア人女性2人が就労しております。
EPA(経済連携協定)に基づき、日本で日本語学の勉強とともに、介護福祉士取得を目指し、実務経験3年を積むために勤労しております。二人は、母国インドネシアで看護師の資格を取得しておりますが、母国で半年間日本語の研修を受け、現在は介護老人保健施設に常勤しております。
3年の実務経験ののちに介護福祉士の国家試験に挑むのです。
外国人受け入れの整備
EPA(経済連携協定)では、介護福祉士と看護師の候補者の受け入れを2008年に開始。 宮城県内では計6人のインドネシア人を受け入れた実績があります。
現在被災地では住民が戻りつつありますが、東日本大震災を機にこの地には住めないと移住されている方も多数存在します。しかし、移住することを選択しない高齢者も大勢いることから、地域で高齢者を支える介護の担い手が非常に不足しています。これは、今後被災地に限らず郡部又は都市部でも起きる現象でもあります。
EPAの課題
母国で半年間日本語の勉強をしたところで完璧なコミュニケーションを行うことは難しい現状です。 医療介護分野では、コミュニケーションは大変重要です。ジャスチャーによる、身振り手振りなどの動作は限界があるのは言うまでもありません。EPA(経済連携制度)において介護福祉士の勉強にきている外国人は、言葉や文化、国民性などをまず先に知ることから始まります。
言葉が違えば文化が違うことは当たり前であり、生まれ育った地ではないところで勉強をするということは決して容易なことではありません。
外国人受け入れ対策・技能実習生
開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。 我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。
この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。
「外国人技能実習制度」の利用によって、以下に役立ててもらうことにしています。
(1)技能実習生は、修得技能と帰国後の能力発揮により、自身の職業生活の向上や産業・企業の発展に貢献
(2)技能実習生は、母国において、修得した能力やノウハウを発揮し、品質管理、労働慣行、コスト意識等、事業活動の改善や生産向上に貢献
(3)我が国の実習実施機関等にとっては、外国企業との関係強化、経営の国際化、社内の活性化、生産に貢献
技能実習生項目に「介護」検討
外国人技能実習制度の追加対象職種として検討中の「介護」について、2015年2月4日に発表された「外国人介護人材受入の在り方に関する検討会での中間まとめ」より検討中の内容から重要項目を示します。
【作業対象項目】
必須業務
身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
関連業務
身体介護以外の支援(清掃、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
周辺業務
その他(お知らせなどの掲示物の管理等)
- 必須業務:必ず行わなければならない作業。実習計画の概ね半分以上。
- 関連業務:実習計画の概ね半分以下。
- 周辺業務:実習計画の1/3以下。
【日本語のレベル】
日本語能力試験「N4」程度の日本語会話力を身につけた上、入国が必須。
2年目に移行する際は、「N3」の取得が必須。取得できない場合は、帰国となる。
「N4」とは
基本的な文章や、ややゆっくりとした会話が分かる小学校低学年レベルの日本語力。
「N3」とは
日常会話や新聞の見出しが分かる、一段高いレベルの日本語力。
【雇用期間】
現在の3年間から5年に延長。
ただし、4年目に入る前に一旦1ヶ月以上帰国させる必要がある。
【夜勤について】
実習2年目以降に限って可能。
【対象外】
- 訪問介護
- 設立後3年に満たない施設
【入国後1ヶ月の研修について】
専門用語や介護現場におけるコミュニケーションの他、介護に関する基礎的な事項を学ぶ必要がある。
【受入人数枠】
常勤職員数30人以下の場合は、常勤職員総数の10%までとする。
今後の医療介護の現場で見えること
現在は、まだ守られた圏域ですが、今後人材不足が加速するとともに外国人雇用が目立つことは必然です。そこでは、多職種連携と国籍の垣根を超えた連携が好事例としてメディアに取り上げられていくのではないでしょうか?
グローバルで尚且つ質を担保するためには教育が非常に重要になります。柔道整復師も垣根を超えて多人種との連携を進んで図ることが、今後の業界においても必要になると感じます。
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