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柔道整復師と介護福祉【第49回:入管法改正に伴う今後の動向について】

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政府は、2019年4月に入管法の改正に向けて審議を開始。改正される入管法についてのスケジュールやポイントについて整理いたします。

改正までのスケジュール

政府は入管法改正までのスケジュールを発表。但し、このスケジュール発表自体が予定としての発表なので、国会の審議の中で変わる可能性が高いです。

  1. 2018年秋の臨時国会において新たな在留資格をつくる入管法の改正案が作成され、提出。
  2. 2018年秋に外国人単純労働者受け入れに向けた基本方針と業種別の方針を閣議決定。
  3. 2018年12月外国人人材・共生のための総合的対応策が決定。
  4. 法務省入国管理局が(仮称)入国管理庁へと格上げ、組織が改編。
  5. 2019年4月施行の改正入国管理法で新たな在留資格「特定技能(仮称)」が創設、特定の業種で単純労働に従事することが可能となる。

この①~⑤までのスケジュールはまだ予定として発表されているもので、今後の国会における審議の中で内容及び実施時期が変わる可能性があります。

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案

(審議経過)
<議案提出者:内閣(法務省)提出>

改正案の4つのポイント

  1. 一定の技能が必要な業務に就く「特定技能1号」、熟練技能が必要な業務に就く「特定技能2号」の在留資格を新たに創設。
  2. 「特定技能1号」は、在留期間が通算5年で家族帯同は認めない。「特定技能2号」は、期限の更新が可能、配偶者・子供の帯同も可。
  3. 人材確保が困難な産業分野で外国人を受け入れ。人手不足が解消されれば、一時的に受け入れを停止。
  4. 「出入国在留管理庁」を設置。

改正案の6つの理由?

  1. 人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため
  2. 当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格に係る制度を設けるため
  3. その運用に関する基本方針及び分野別運用方針の策定するため
  4. 当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約の整備するため
  5. 当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するため
  6. 外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設するため

今回改正のポイント

今回の入管法で改正されるポイントについてQ&A方式で下記にまとめます。


Q1外国人の単純労働はどのような業種が解禁となるの?

A1新しい「特定技能」として定められる在留資格は、一定の技能や日本語能力(小学生低学年レベル「N4」)を条件に最長5年在留が許可され、単純労働も認められます。 現在、確実に対象となる分野として建設、農業、造船、宿泊、介護の5つ挙げられております。更に、政府へ業界団体からの強い要請もあり、金属プレス、鋳造、食品加工等も対象になると予測されます。
一度にあらゆる業種に拡げてしまうと入国管理側の省令ならびに基準及び人的環境が、整備できないため、2019年4月の段階でどの程度までカバーできるかは未決定状態になります。

Q2なぜ、今回の入管法改正は大々的にメディアに取り上げられているの?

A2日本では、1989年に1.57ショックと呼ばれる少子化傾向が顕著になり、来年1.57世代は30歳となり若年労働者が極端に減っている現状です。特に地方の中堅・中小企業の人手不足が深刻化、日本経済の成長に悪影響を与えるという判断から、単純労働に該当する業務も含め開放することに至りました。
政府統計では、15~64歳の生産年齢人口がこれからの20年で1500万人以上減ると予想されています。この状況下において、今後外国人労働者をあらゆる業種で長期的に受け入れ、日本が衰退しないような仕組みが喫緊に必要となりました。
今までの経緯では、高度化人材を中心とした知的労働に対して外国人の受け入れ方として基本的な考え方が、肉体的な労働も含め人手不足で苦しむ業界を救う方向にシフトしたのです。今回のメディアが取り上げている最大の要因は、単純労働に対する在留ビザ交付に向けた改正が大きなニュースとなっている理由です。

Q32019年4月の入管法改正で、技能実習生制度はどのようになるの?

A3新しい改正入管法において技能実習生の制度は継続されます。


改正のポイントは、技能実習生として優秀と評価された外国人については同様の内容の業務に従事するのであれば、さらに5年追加、日本で就労可能となります。在留期間の追加時は、「特定技能」の在留資格が交付、特典として母国から配偶者や子供を「家族滞在」で招聘可能となります。
日本では従来から「技能移転を通じた国際貢献」として技術実習制度(最長5年)を運用してきました。2019年4月からは労働者確保という産業界からの要請に応え、日本国内での単純労働従事者、肉体労働従事者として外国人就労を推進していく方針です。

以下に単純労働、肉体労働が必要な業種を示します。

農業関係(2職種、6作業)、漁業関係(2職種、9作業)、建設関係(22職種、33作業)、食品製造関係(9職種、14作業)、繊維・被服関係(13職種、22作業)、機械・金属関係(15職種、27作業)、その他(12職種、24作業)が対象。

法案改正に伴う懸念点

外国人に関する基本法の必要性について

単なる労働者ではなく「人」を受け入れる以上、権利を保障することや、住民として統合されるための施策が行われることが必要です。しかし、どのような「共生」を行い、どのような取り組みをするのか、国や自治体、民間等の責任を規定する法律が現在日本にはありません。実際に、難民申請者が日本で生きていくためのセーフティーネットや日本語教育の必要性を訴えても「基本法がなく政府の責務ではない」という理由で認められず、十分な予算もつけられないという現実がります。今回の入管法等改正では、滞在する外国人の「在留管理」の観点が強く、「共生」という観点が不足しています。外国人に対する「管理」の視点のみが強調される現状を改め、「共生」の在り方を定める法律を策定する段階に直面していると推測します。

法案改正に伴う外国人人材に対する法案の整備

今後、外国人と共に生活するにあたっての基本的な理念と法案の制定が必要となるでしょう。

  1. 外国人の権利の保障
  2. 外国人に対する差別や人権侵害を防ぐための仕組み
  3. 外国人施策の責任の所在と予算の確保
  4. 外国人施策を担う組織の設置
  5. 施策の立案において当事者の声を反映させるための仕組み
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