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柔道整復師と介護福祉【第54回:児童福祉法・発達障害児の傾向】

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発達障害者支援法によると発達障害とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

発達障害の歴史的背景と経緯

1943年に、アメリカのレオ・カーナーによって早期児童自閉症が発見されたのが始まりといわれています。日本においても1970年代頃から自閉症という診断名で子供たちが診断されるようになりました。その多くが知的障害を伴う症状がメインであり、現在の発達障害の概念とは異なるも位置づけでした。その後「自閉症」という言葉は一般にも広がり、疾患というよりも「こころを閉ざす」「内にこもる」など、パーソナル部分が強調されています。

知的障害のない発達障害が確認されたのは1980年代、1990年代には自閉症や学習障害児を支援する体制が海外で先進的に開始。その頃は、日本でまだ一般には浸透していない状況でした。日本で発達障害が注目されたのは、1990年代中頃からです。

この時代は「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る少年が犯罪を起こし、診断の結果、ADHDと診断。1997年にも凶悪事件を起こした少年が発達障害と診断され、「発達障害」が広く認知、早期の治療が求められるようになっていきます。

2005年には、発達障害者自立法が制定。LD、ADHD、アスペルガー症候群が障害として定義された他、2007年には、障害児教育を一本化した「特別支援教育」が開始。2012年4月に児童福祉法の改正により、「児童発達支援事業」が創設。サービスの一元化により、幅広く利用することができるようになりました。

増加する発達障害児

文部科学省は、毎年公立小学校、中学校、義務教育学校及び中等教育学校の前期課程を対象として「通級による指導実施状況調査」を行っています。自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する児童生徒数は、平成19年度以降、毎年増加傾向にあります。

過去3年間で、児童生徒数は17.4%増加、前年度と比較して各障害種で増加しており、注意欠陥多動性障害(ADHD)2,313名、学習障害(LD)1,388名、自閉症1,709名、情緒障害1,201名が、それぞれ増加しています。

指導時間別児童生徒数

「通級による指導」とは、障害のある児童・生徒が小・中学校の通常学級に在籍しながら、個々の特性に合わせた個別指導を受けることです。平成28年度の発達障害の指導時間別児童生徒数は下記の通りです。

発達障害児増加の理由

2012年に文部科学省が全国の小中学校で、約5万人を対象にした調査では、「発達障害の可能性がある」と思われる児童・生徒は全体の約6.5%に及ぶと報告されています。但し、この調査は通常学級に通う児童・生徒を対象としており、特別支援学校や障害者施設を利用している児童・生徒や、障害に気づかれていない予備軍も含めると、絶対数は増加している可能性がとても高いです。発達障害の増加理由として、次の要因が考えられます。

1.発達障害の存在が、メディアなどを通して広く知られるようになったことで、これまで「ちょっと変わった子」とみられていたものが、親や教員が早期に発達障害に気づくことができるようになりました。

2.医師が診断しやすくなったことで、研究が進んだことにより、これまでに比べて「発達障害」と判断する基準が多くなり、患者と認定される人が増加したことが考えられます。

3.外的要因の増加

発達障害は、遺伝的原因と環境的原因によって発生すると考えられています。近年の研究により、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などが遺伝子に関わっていることが分かってきました。単一の遺伝子ではなく、多くの遺伝子が関わって発生するようです。

4.環境的原因としては、腸内環境悪化、有害物質蓄積、母体の胎内環境悪化など様々な要因が考えられます。これらがどう影響しているのか不明な点が多いですが、これからの研究によって解明されていくことを願います。

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