柔道整復師と介護福祉【第72回:介護施設におけるレクリエーションvol.2】
(1)基礎生活レクリエーション
基礎生活レクリエーションは、日々の暮らしのなかで、要介護者が心地よく感じる時間を増やしていくレクリエーションです。
- 食事の時間に懐かしい映像を見る
- 入浴の時間に音楽を流す
- 部屋や共有部分に絵を飾る、花を置く
(2)レクリエーションのバリエーション
体力の衰えによる不安のほか、夜によく眠れない、日中何もすることがなく退屈であるなど、高齢者はさまざまなストレスを抱えています。そんなストレスを和らげるのが、リラックスするためのレクリエーションです。
頭や体力を使うことよりも、気持ちをやわらげることを目的としています。
- 深呼吸体操
- ヨガ
- ハンドマッサージ
- 動物と触れ合う
- 景色を眺める
- 音楽を聴く
(3)レクリエーションを行う際のポイント
高齢者に楽しんでもらえるようなレクリエーションをするためにはいくつかのポイントを抑えておく必要があります。
- 対戦式ゲームのルールは簡単に
ルールが複雑なレクリエーションはかえって楽しみを半減させます。シンプルで分かりやすいゲームを選びましょう。また、ルール説明をするときは理解しやすいようにスタッフ同士で実践してみるなど工夫するとよいでしょう。 - 安全に配慮する
体を動かしたり、道具を使ったりする場合は高齢者の安全面に細心の注意を払いましょう。複数人で行うレクリエーションの場合は何人かのスタッフと協力して危険性はないか管理しましょう。
またレクリエーションを行う前にリスクマネジメントすることも重要です。行うレクにはどんな危険性があるのか事前に考えておけばそれに対する対策ができます。用心深くレクリエーションを計画することが大切です。 - 尊厳を守る
子ども扱いするようなレクリエーションの内容や話し方は本人のプライドを傷つける場合があります。レクリエーションを考える、また行う際にも高齢者の意思を尊重した振る舞いが大切です。 相手の立場になって考えるということを忘れないようにしましょう。
(4)レクリエーションの掘り起こし
「具体的なレクリエーションのやり方が知りたい」「毎日のレクリエーションでネタが尽きてしまった」という方におすすめなのが、高齢者向けレクリエーションをまとめた本です。
基本的なレクリエーションから、変わり種までさまざまなレクリエーションが載っているので、毎日レクリエーションを考えなければいけない施設スタッフの方はぜひ活用してみてください。
- お年寄りとコミュニケーションが深まる! 楽しく盛り上がるレクリエーション100
介護の仕事に携わる方向けのレクリエーション本です。身体を動かす体操や、頭を使うゲーム、昔を懐かしんで楽しむあそびなどさまざまなレクリエーションが100種類紹介されています。 - 車いす、片マヒの人もいっしょにできる 高齢者のレクリエーション
車いすを利用している方や、片麻痺のある方も楽しめるレクリエーションが紹介されています。 レクリエーション中の参加者のサポートの仕方や、レクリエーションの進行方法なども解説しており、「レクリエーションを任されたけどどうすればいいか分からない…」という方に特におすすめの本です。
また、レクリエーションを盛り上げるためのコツも豊富に紹介されているので、「レクリエーションがイマイチ盛り上がらない…」という悩みを抱えた介護施設スタッフの方に特におすすめです。
(5)専門的レクリエーション
レクリエーション介護士
介護現場でレクリエーション介護士の資格が注目されている。
- 介護施設で行うレクリエーションに関して、高齢者に喜ばれる適切なレクリエーションを提案できる人材であることを示す「レクリエーション介護士」という資格があります。
- レクリエーションは今の介護現場になくてはならない存在です。しかし、その専門的な知識を持っている方は多くありません。そのためレクリエーション介護士の資格取得者は現在、介護現場で注視されています。
- レクリエーション介護士の資格は、高齢者に喜びや生きがいを与え、笑顔にできる介護スタッフの育成を目的としています。
レクリエーション介護士資格を取得することによって、レクリエーションの知識や幅が広がるため、レクリエーションを考えることが負担だと感じる人は取得を検討してもよいでしょう。 - レクリエーション介護士とは、介護施設等でイベントなどを企画する専門資格で、2014年に出来た比較的新しい資格です。
(6)介護現場でのレクリエーションの課題
- 職員の業務負担が顕著に出ている。
- 介護現場でのレクリエーションの課題は、職員の業務負担です。食事介助や入浴介助などで忙しい中、「空いた時間にレクリエーションを当てはめなければ」とか、「新ネタを探さなくては」などレクリエーションのことを考える時間がない場合があります。
そういった場合、いくつかの解決方法が考えられます。まず、レクリエーションに対する考え方を変えることです。高齢者にとっては生活の中の楽しさそのものがレクリエーションなのです。介護側からレクを提案するというよりも、その人に任せる形で自然にいろいろと楽しんでもらうということです。 - 介護職員同士やご家族との協力です。
一人で抱え込まず、同僚に相談してノウハウを共有し合ったり、ご家族に協力を仰いだりするのです。負担が軽減されるだけでなく、他の場面でもお互い協力できるようになるでしょう。
最後に、レクリエーション介護士資格取得です。
この資格を取得することで、レクリエーションに関する統一的な専門知識が身につくため、より効率的にレクリエーションを提案できるようになります。
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