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柔道整復師と介護福祉【第97回:介護保険の基礎知識ver1】

柔道整復師と介護福祉 特集

次期改正のポイント

令和4年12月に行われた厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会」において、令和6年度の介護報酬に向けた審議が開始、介護保険制度の見直しに関する意見がまとめられました。

介護保険制度は、3年に1回改正が行われ、2年目のこの時期(12月)に次回の改正についての大まかな骨子が決定されます。しかし、今回の社会保障審議会では、結論を先送りする事案も見られ、令和6年度の介護保険制度改正の先行きが不安な状態です。

新春特集として要点をまとめ解説していきます。

2024年度(令和6年度)介護保険制度改正の背景について

まずは、介護保険制度の改正に関わる社会情勢や背景を確認していきます。

2000年(平成12年)に介護保険制度がスタートして22年が経過し、大きな転換期を迎えようとしています。人口構造の変化や経済状況の変化などに対応しながら、いかに持続可能な制度としていくかが大きな課題となっています。

介護保険制度を取り巻く社会情勢の変化

  1. 2025年に団塊の世代が75歳以上となる
  2. 2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎える
  3. 2040年に15歳から64歳までの生産年齢人口が急減していき、全産業において人材不足となる。そのため、サービスの需要に応じた介護人材の確保が難しくなる
  4. 都市部では高齢者人口が急増する一方、高齢者人口がピークを迎えている地域では緩やかに減少してくるため、地域のニーズに応じた柔軟なサービス提供が必要となる

介護保険制度は、高齢者の介護になくてはならないものとなっています。増え続ける高齢者や介護人材の不足、多様化するニーズに対応していくために、誰もが安心して生活できるような制度改正が求められています。これら現状を鑑みて、今回の「介護保険制度の見直しに関する意見」では、地域包括ケアシステムを中心とした介護サービス基盤の整備や共生社会の実現に向けた取り組み、介護人材の確保や利用者負担に関することなどの意見がまとめられました。重点項目を5つのポイントに分けて説明していきます!

  1. 介護保険の利用者負担引き上げについて
  2. 要介護1.2の訪問介護・通所介護を市町村の「総合事業」への移行
  3. ケアプランの有料化
  4. 新サービスの創設
  5. 要支援者のケアマネジメントを居宅介護支援も指定対象

今回の介護保険制度改正は、気になるポイントがたくさんありますが、特に気になる重点項目です。

1. 介護保険の利用者負担の引き上げについて

介護保険制度の利用者負担については、その所得等に応じて介護保険負担割合が1~3割となっています。現状では、介護保険負担割合が1割の方が9割を占めています。この負担割合の2割の対象者枠を広げようという議論が交わされていました。

重点ポイント

利用者負担の引き上げは、令和5年6月の閣議決定まで先送りとなりました。

要因

ウクライナ戦争や円安の影響による物価高騰が国民生活を直撃するなか、利用者負担の引き上げについては、関係団体などから強い反発の声があがっています。医療保険についても高齢者の支払い能力に応じた負担増を行う方針を既に決めているため、来年の動向も注視しながら結論を出す予定となります。

2. 要介護1.2の訪問介護・通所介護を市町村の「総合事業」への移行

増え続ける介護給付費を少しでも抑えようとするなかで、要介護1及び2の方を軽度者と枠に設定、訪問介護・通所介護を「総合事業」へ移行するという考えがありました。

重点ポイント

「2027年度の制度改正までの間に結論を出す」との方針により、今回の改正では見送り。

要因

財務省を中心とした介護給付費を抑えたいと考える側と現場関係者かたの強い反発の中、2024年度の介護保険制度改正では見送り、2027年度の改正までさらに継続審議となります。

3. ケアプランの有料化

居宅介護支援のケアマネジメントについては、現行制度では全額公費となっています。これについて利用者負担を徴収していくというものです。

重点ポイント

「2027年度の制度改正までの間に結論を出す」との方針により、今回の改正では見送り。

要因

「利用者やケアマネジメントに与える影響、他のサービスとの均衡なども踏まえながら、包括的に検討を行い、第10期計画期間の開始(2027年度)までの間に結論を出す」と明言されています。

4. 新サービスの創設

通所介護などが地域の実情やニーズに合わせて柔軟に対応できるように、新しいサービスの創設がされるというものです。

具体的には、通所介護の事業所が利用者に訪問サービスを提供したり、通所介護と訪問介護の事業所が相互に連携したりする形を想定しており、市町村が主体となる「地域密着型サービス」として調整されていく見込みです。新しいサービスとなると、2012年に創設された「定期巡回・随時対応型訪問介護・看護」と「看護小規模多機能」以来12年ぶりとなります。

重点ポイント

2024年度(令和6年度)介護保険制度改正で通所+訪問の新サービス創設。
これから来年度にかけて、新たなサービスの運営基準や報酬のあり方など具体的な検討を進めていくことで大筋合意。

要因

今後、年内にも方針を正式に決めていく予定で、2024年度の制度改正・報酬改定の中では、大きな動きのひとつとなりそうです。

5. 要支援者のケアマネジメントを居宅介護支援も指定対象拡大

現行では地域包括支援センターに限定しているが、居宅介護支援事業所も指定対象として新たに加えるというものです。2024年度からの実施を目指す。地域包括支援センターの負担軽減につなげることが狙いです。

重点ポイント

「地域包括支援センターの一定の関与を担保したうえで、居宅介護支援事業所に介護予防支援の指定対象を拡大する」と明記。
具体的な関与の在り方は、今度議論が進められていく見通しです。

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