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柔道整復師と介護福祉【第107回:児童福祉法の基礎知識ver1】

柔道整復師と介護福祉 特集

2024年6月に施行される児童福祉法の改正の8つのポイントについて紹介します。

児童福祉法の改正ポイント①
こども家庭センター&相談機関の設置

今回の改正では、子育て世帯に対する支援のための体制強化・事業の拡充が行われます。具体的には「こども家庭センター」の設置や、相談支援機関の整備が挙げられます。

こども家庭センターとは?

虐待や貧困などの問題を抱えた子ども・保護者を支援する「子ども家庭総合支援拠点」 妊産婦や乳幼児の保護者の相談機関「子育て世代包括支援センター」この2つの期間を一体化した相談機関。子ども・妊産婦などの実情把握、情報提供、相談支援のほか、支援を要する子どもや妊産婦等への支援計画(サポートプラン)作成を行います。これまで、「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の2つの機関では、情報共有が不十分で、支援が届かないケースがありました。今後は、こども家庭センターの設置によって支援が必要な家庭の見落としを防ぐ方針です。また、今回の改正では、こども家庭センターの設置とあわせて、子育て世帯が相談しやすい相談支援機関を、保育園といった身近な子育て支援の場に整備します。

児童福祉法の改正ポイント➁
家庭支援事業の強化

今回の改正により「訪問による家事支援」「児童の居場所づくりの支援」「親子関係の形成の支援」など、家庭支援事業が創設されます。訪問による家事支援…子育てに関する情報の提供、家事・養育にかかる援助といった支援を行います。児童の居場所づくりの支援、養育環境に恵まれない児童に対して安心・安全な居場所を提供するとともに、食事の提供・学習のサポート、保護者への相談支援を行います。親子関係の形成の支援、親子間の適切な関係の構築を目的として「子どもの不適切な行動への対応の仕方」「子どもをより良い行動へと導くためのほめ方・しかり方」といった講義やグループワークを通じて、ペアレントトレーニングを行います。これら支援を行うほか、困難を抱える妊産婦に一時的な住居や食事提供や、その後の養育等に係る情報提供を行う事業も創設します。

児童福祉法の改正ポイント③
障がい児支援の質の底上げ

これまで、未就学の障がい児の発達支援を行う「児童発達支援センター」は、その果たすべき機能や、一般の「児童発達支援事業所」との役割分担が明確になっていませんでした。今後は、「幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援を行う」「地域の障害児通所支援事業所に対して支援内容の助言・援助などを行う」といった児童発達支援センターの役割・機能を明確にして、適切な発達支援の提供につなげます。

児童福祉法の改正ポイント④
児童養護施設の年齢制限の撤廃

今回の改正で、児童養護施設などの年齢制限が実質撤廃されるようになります。今までは、児童養護施設や自立援助ホームなどに入所している児童が上限年齢(例:18、20、22歳)に到達すると、支援や措置が打ち切られていました。しかし、施設を退所するときに、児童の約5割が「生活費や学費に不安がある」と回答していました。これら背景から、今後は児童養護施設などに入所していた児童は、20歳以降に、児童自立生活援助事業を活用して、必要とされる時期まで自立支援を受け続けられるようになります。

児童福祉法の改正ポイント⑤
児童相談所の支援の強化

今後は、児童相談所による支援の強化として、民間との協働による「親子再統合の事業の実施」や、新たな児童福祉施設として「里親支援センター」を創設するといった取り組みが行われます。また、児童相談所は、入所措置や一時保護といった際に、児童にとっての最善を考慮しつつ、児童の意見・意向を加味した措置のために「児童の意見聴取」を行うといったことも、改正のポイントとなります。

児童福祉法の改正ポイント⑥
子どもの「一時保護」の判断に司法が介入

児童福祉法の改正により、一時保護の判断の適正性や手続きの透明性を確保するため、一時保護開始時の司法審査が導入されるようになります。具体的には、児童相談所が一時保護を開始する際に、親権者などが同意した場合を除き、保護開始から7日以内に裁判官へ「一時保護状」を請求するといった手続きが設けられます。

児童福祉法の改正ポイント⑦
虐待などに関する新たな資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」の設置

子ども家庭福祉の現場に、ソーシャルワーク分野で専門性の高い人材をできるだけ早く輩出するために、「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」という新たな資格が新設されます。子ども家庭福祉ソーシャルワーカーは、児童虐待を受けた児童の保護に対応について、十分な知識・技術を有する専門家です。国の基準を満たした認定機関が認定した研修などを経て取得することができる認定資格で、資格取得には一定の実務経験や研修の修了、試験の合格が必要になる予定です。

児童福祉法の改正ポイント⑧
児童をわいせつ行為から守る環境整備

児童にわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化を行うとともに、ベビーシッターなどに対する事業停止命令といった情報を公表・共有します。

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