柔道整復師と介護福祉【第108回:児童福祉法の基礎知識ver2】
令和4年6月に成立した改正児童福祉法について
これまで児童虐待防止のために種々の対策を講じてきたところですが、虐待による重篤な死亡事例が後を絶たず、また令和2年度には児童相談所の児童虐待相談対応件数が20万件を超えるなど、依然として子ども、その保護者、家庭を取り巻く環境は厳しいものとなっています。例えば、子育てを行っている母親のうち約6割が近所に「子どもを預かってくれる人はいない」といったように孤立した状況に置かれていることや、各種の地域子ども・子育て支援事業についても支援を必要とする要支援児童等に十分に利用されておらず、子育て世帯の負担軽減等に対する効果が限定的なものとなっています。こうした子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、児童等に対する家庭及び養育環境の支援を強化し、児童の権利の擁護が図られた児童福祉施策を推進するため、要保護児童等への包括的かつ計画的な支援の実施の市町村業務への追加、市町村における児童福祉及び母子保健に関し包括的な支援を行うこども家庭センターの設置の努力義務化、子ども家庭福祉分野の認定資格創設、市区町村における子育て家庭への支援の充実等を内容とする「児童福祉法等の一部を改正する法律」が令和4年6月8日に成立しました。
保育士の専門性について
2024年の児童福祉法改正で保育士の専門性について変化があります。「保育士」とひと口に言っても、保育園や障がい児支援施設、児童養護施設など、働いている施設はさまざまです。2024年6月児童福祉法改正で保育士の仕事はどう変わるのか、施設別に紹介しましょう。
児童福祉法改正の影響① 保育園
「家庭支援」の業務が増える!
保育園で働く保育士の場合、2024年の児童福祉法改正で「家庭支援」の業務が増えることが予想されます。今回の改正では「子育て世帯が相談しやすい相談支援機関を、保育園に整備すること」といった内容が含まれています。相談支援機関が保育園とは別の機関なのか、それとも保育園側で設置するのかといった点は不明ですが、こうした相談支援機関と連携して、保護者を支援していく機会が増えていきます。
児童福祉法改正の影響➁ 障がい児支援施設
かかわる子どもの年齢が幅広くなる!
放課後等デイサービスは「就学している障がい児」を対象にしており、高校ではなく、専修学校・各種学校へ通学している義務教育終了後の年齢層(15~17歳)は利用対象とはしていません。今回の改正で、専修学校・各種学校へ通学している障がい児でも、市町村長が認める場合については、放課後等デイサービスの利用が可能となります。したがって、障がい児支援施設で働く保育士や児童指導員の場合、今後は関わる子どもの年齢が幅広くなります。
児童福祉法改正の影響③ 児童養護施設
「自立支援」も仕事に!
今回の改正で、児童養護施設などの年齢制限が撤廃されるようになります。したがって、児童養護施設で働く保育士や児童指導員は、かかわる入所者の対象年齢が幅広くなるだけでなく、今後は入所者一人ひとりの状況に合わせた自立支援を行えるようになります。
また、施設退所者への相談、伴走支援を行うアフターケア事業(社会的養護自立支援拠点事業)も新たに創設されるため、そういった事業機関との連携も増えていきます。
2024年の児童福祉法改正
2024年の児童福祉法改正では、子育て支援や自立支援、障がい児への支援が強化されます。こども家庭センターのほか、子育て世帯が相談しやすい相談支援機関など、新しい機関が設置されるようになり、今後はこうした機関と保育園の連携が必要になります。
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