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柔道整復師と介護福祉【第60回:相談援助の手法②】

2019/10/16
技法(アプローチ)について

相談援助は、援助者が、クライエントと共に目標を決め、計画を立て、社会資源を利用しながら、目標に近づいていく活動を指します。この際、どんな風に目標に近づいていくかにも、色々な技法があり、その中でも主要なものにはアプローチ名が付いています。

問題解決アプローチ

心理社会的アプローチ(診断主義派)と機能的アプローチ(機能主義派)の折衷理論です。
問題解決の主体は、クライエントにあると考えます。クライエントにとって、「何が困難か」に焦点を当てています。クライエントが問題解決する際に、できるだけ効率よく対処できるようにサポートします。

※デューイの問題解決論の影響を受けています。

 

心理・社会的アプローチ

精神分析、自我心理学などを用いた診断主義ケースワークに基づくアプローチです。
「クライエントの心理的側面」と「クライエントを取り巻く社会的側面」が相互に影響し合った複合状況としてクライエントを理解しようとする方法です。人間の行動や成長に注目します。「状況の中の人」(人、状況、その作用)クライエントへ直接的な働きかけをするとともに、環境への間接的な働きかけや調整も重視します。

※フロイトの影響を受けています。

 

機能的アプローチ

クライエントの社会的機能を高めるアプローチです。
人の問題は自由意志と成長の力が、環境要因により損なわれているために生じると考え、その要因を除去し、本来人が持っている力(機能)を発揮できるように支援します。 クライエントが自らの意志で解決の方向性を決められるよう、抱えているニーズが明確化できるよう支援します。

 

課題中心アプローチ
  • 1. 短期的アプローチの一つです。
  • 2. 2~4か月で取り組みます。

クライエントが抱える課題を、クライエントが解決しなければならない問題として取り上げ、クライエント援助者が協力して解決する方法です。
クライエントが課題を自覚していること、クライエント自身の努力によって解決できる課題であることが大切です。

 

解決志向アプローチ
  •  短期的アプローチの一つです。

問題やその原因に焦点を当てるよりも、解決の方法(どうやったらできるのだろうか?)や利用できる資源・能力(そのために何が必要なんだろうか?)に焦点を当てます。
うまくできた時をイメージし、そうなるにはどうしたらいいか?を考えます。

 

行動変容アプローチ

条件反応の消去、強化による特定の問題行動の変容を働きかけます。

※スキナーのオペラント条件付けの理論に基づいています。

問題行動の原因や過去にさかのぼらず、現在の行動そのものに注目するのが特徴です。
行動を変える必要があると、どの程度感じているかによって、支援の仕方が変わってきます。

無関心期
半年先も特に行動を変えようと思っていない
関心期
半年後までには何とかしたいと思っている
準備期
1か月以内に行動を起こしたいと思っている
実行期
行動を変えようと、頑張りはじめている
維持期
行動を変えてから、半年以上頑張っている

要点

  • 無関心期や関心期の人は、なかなか行動を変えるよう働きかけるのが大変です。
  • 準備期の人は、「実行したい」と考えているので、目標を決め、行動計画を立て、実行に移すのに適した時期です。
  • 実行期の人には、新しい行動が持続するようなコーチングをします。
  • 維持期に入れば、継続的な援助者のかかわりがなくても大丈夫なので、援助の完了とします。

 

危機介入アプローチ

暴力や育児放棄、家庭崩壊など危機的な状況にあり、情緒的に混乱しているクライエントに対して、積極的に介入していきます。危機介入アプローチの目的は、危機的状況の回避です。 クライエントの状態が落ち着くと、課題中心アプローチへ移行することが多いです。

 

ナラティブアプローチ

クライエントが語る物語を通じて援助を行うアプローチです。援助者は、クライエントと対等の関係で話を聞きます。
クライエントが、自分について話すストーリーを、理想のストーリーへ転換します。
その過程で、問題とその人のアイデンティティを切り離し、問題を外在化させるようにします。

 

エンパワメントアプローチ

「全ての人が困難な状況においても、潜在的な能力と可能性を持っている」と考え、クライエントが持つ弱さにではなく、クライエントが持っている力や可能性(パワー)に着目します。

 

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