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柔道整復師と介護福祉【第83回:介護保険制度の持続可能性の確保について】

2021/10/16

制度の安定性、持続可能性の確保を図るためには、介護報酬の面でも現役世代の負担が増大することがないようなメリハリをつけた評価が必要となります。また、介護サービスの適正化、重点化を図る前提として、サービスの質に影響が出ていないかを確認する必要もあります。以下に、有識者会議にて議論されているポイントを解説します。

 

第8期事業計画

本計画期間中に団塊の世代が後期高齢者となる中、現役世代の負担が更に膨らむことに強い危機感があります。制度の安定性や持続可能性を議論する際に、サービスの適正化や重点化について、現状を踏まえた具体的な課題の設定が必要とされています。

 

制度の持続可能性

本議論を介護保険分科会で議論するに当たっては、負担増や給付削減により、利用者の生活の維持が立ち行かないことがないよう、審議等を慎重に行うことが前提となります。

 

報酬全体の在り方

報酬の設定に関しては、自治体の意見も踏まえ、保険料水準に留意しながら、地域やサービスの実情に即した報酬単価とすることが必要である一方、保険料に関しては地域格差が生じることが想定されています。いかに、住民に納得がいく合意形成が取れるかが重要課題です。

 

限られた資源

自治体においては地域格差を加味し重点化・適正化という観点を重視するべきです。例えば、居宅介護支援も含めた集合住宅等へのサービス提供体制の在り方、生活援助中心型のサービスの在り方、また、軽度の方へのサービス提供を適正化していくことが論点になっています。利用者の意見と同時に、負担者の納得を得る努力が制度設計上必要に迫られています(共助)。

 

平成30年度の改定

保険給付の公平性を確保する観点から、集合住宅居住者への訪問介護等に関する減算に係る区分支給限度基準額の制度見直しを実施。訪問介護以外にも減算ルールのあるサービスがある中で、訪問介護のような不公平な事態がないか、改めて見直しの必要性が検討されています。

 

報酬体系の簡素化

現行法では、改正ごとに報酬体系が見直し複雑化、サービス利用者にとっても、事業者や保険者に取っても分かりにくいとの意見が相次ぎ、簡素化、明快な報酬体系を構築する必要性があります。例えば総合事業と介護給付の報酬体系が利用者側から理解、認識不足が顕著化しているなどが指摘されています。誰にでも分かるような介護報酬とするためには、期間経過し普遍化された加算は基本サービス費に包括化し、介護報酬の簡素化について検討されています。

 

新型コロナウイルス感染症ならびに災害を踏まえた今後の対応策
【今後の報酬や基準上の対応について】

新型コロナウイルス感染症等の予防、感染症拡大防止を視野に入れた地域包括ケアシステムの推進に向け、介護施設および事業所が取組を充実、更に質を高めていく観点から、その対応については基本報酬で評価が必要となります。事業継続計画(BCP)の体制整備についても評価すべきとの意見があります。

 

感染症対策に係る基準

厚生労働省から規定例が掲示、標準的に予防や感染症拡大防止の対応ができる仕組みが必要です。施設では、感染症対策の委員会の開催が3ヶ月に1回以上求められていますが、それを更に強化することが検討されています。

新型コロナウイルス感染症に関し、様々な感染防止対策を講じた上でサービス提供にあたっている事業所に対しては、基本報酬に一定の割合を加算するなど特例的な対応を提案、一時的なものでなく、恒久的な仕組みとして次期改正で検討されています。

 

新型コロナウイルス感染症

コロナ禍の対応を通じ、共助の推進ではなく、公的な支援を中心とした制度設計が必要と再認識されたのではないでしょうか。専門職を含めて感染症対策の徹底が大変重要となります。新型コロナウイルス感染症や災害対策における臨時的な取扱いについては、再度検証した上で、恒常的な対応が必要な事項とそれ以外の事項と整理し、継続的に介護保険に係る事業所は体制整備について協議されています。

 

【研修などの対応について】

施設における感染症対策について、日頃からの感染防止対策に関する取組が重要であり、看護職を活用しながら、体制整備や研修等に事業所や施設が取り組むことができるよう、報酬体系の整理が検討されています。

感染症対策については、研修内容の充実も必要です。実地研修等を含める動きがあります。感染症対応における情報収集においては、既に災害時に情報を集める仕組みを厚労省で準備、今後新たな感染症発生時に有効に活用できる仕組みが検討されています。

 

感染症対策や災害への対応

外部環境や外的要因に対するリスクマネジメントの対応力向上が今後必須となります。これらは日頃からの準備、対応、訓練等が功を奏するものであるところであり、検討課題として議論されています。

 

新型コロナウイルス感染症に関する補正予算対応等

令和2年度第2次補正予算における慰労金については、金額が十分かという課題はあるものの、自治体の事務負担軽減にも配慮し、継続実施されている現状です。新型コロナウイルス感染症への対応として、民間事業者への金融支援策の手続き簡素化、防護具の配置について、早急な整備が必要とされています。

 

新型コロナウイルス感染症に係る介護報酬の取扱い

実際のサービス提供時間より上位の時間区分で請求できる取扱いが掲示、通所事業所に関しては利用自粛の傾向が強く資源の存続のため、国が公費の投入を検討されています。

 

クラスター対応

これまで介護分野でもクラスターの発生が全国で相次ぎ、業界団体や自治体が連携調整、人材確保のためのスキームを構築、国も応援体制等について補正予算を組み、連携が更に図られるよう最重要課題として検討されています。

 

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