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柔道整復師と介護福祉【第91回:介護保険の基礎知識ver4】

2022/06/16

介護保険法改正案

2021年介護保険法改正案の特徴

介護保険法改正は、1割負担から所得に応じで2割、3割に変わったのは、前回2018年のことです。いよいよ厚生労働省も本腰を入れてきたと、覚悟をした次の2021年度の介護保険法改正案を見てみると、意外に弱腰になっていました。今回の弱腰に見えた背景には、70歳以上の就業支援を法律で制度化し、診療報酬を75歳以上の所得のある人に2割負担をしてもらってからという意向が推測されます。さらに、医療も介護も両方一度に改正すれば痛みが大きいということで、介護は後回しとなりました。後期高齢者医療の2割負担が決まれば、介護保険という流れになるようです。また、社会保険制度の改正は、医療は2年ごと、介護は3年ごとです。医療保険改正は前回2018年、介護保険課制は前回2019年、医療の診療報酬改定は2020年、介護は2021年です。

2021年に先送りされた案件は2024年に加わる可能性が高く、次回改正が最大の焦点となります。具体的な施策内容と先送り内容について解説します。

 

介護保険法改正案について

介護保険法改正案

社会保障審議会介護保険分科会で検討された介護保険制度の見直し案は、次の6点で、2021年度から導入が決まったのは最初の2つのみです。

 

特養などを利用する低所得者の自己負担増【導入】

介護保険3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)は、介護保険が使えて安価であるといわれていますが、食費や部屋代は介護保険の対象ではなく、原則自己負担です。但し、住民税非課税世帯(年収155万円以下)のうち、単身世帯で預貯金や有価証券などの資産が、1千万円以下の場合は補助が受けられます。今回の改正では、資産が1千万円以下の条件は、500万円以下に引き下げられました。補助額は収入に応じて決まり、自己負担額が違ってきます。その中で年金収入等が80万円超の方は、食費と部屋代を合わせた自己負担は月約3万1千円でした。今回の改正で80万超の区分を、次の2つに分けて負担額が設定されました。

  • 年金収入等が80万円超120万円以下
    食費と部屋代を合わせた自己負担は、月約3万1千円で変わりません。
  • 年金収入等が120万円超
    食費に2万2千円を上乗せして、食費と部屋代を5万3千円に変わります。

 

高所得世帯の自己負担上限の引き上げ【導入】

介護サービスは利用者に所得に応じて、1割から3割の自己負担となっています。自己負担額が増えると、医療費と同じように「高額介護サービス費」の仕組みが適用されます。1カ月の介護負担額が、所得に応じて決められた金額を超えた分だけ返却されます。この所得に応じて決められた金額が、高所得世帯の区分で見直されました。現在、月4万440円を超えると返却されていた区分が、3つに分割されます。

  • 年収約770万円未満の世帯
    限度額が4万4千円。
  • 年収約770万円以上で約1160万円未満の世帯
    限度額が9万3千円。
  • 年収約1160万円以上の世帯
    限度額が14万100円。

 

自己負担2割の対象者拡大【先送り】

多くの介護保険利用者に影響が強い、所得に応じて2割、3割負担の改正でしたが、実際は2~3割の負担の方は少なく、利用者の90%が1割負担となっています。2割負担の条件は、年金収入のみの場合で280万円以上382万円以下。3割負担の条件は、年金収入のみで383万円以上。結果的には、後期高齢者医療で2割負担が導入されれば、いずれ2割の流れになっていくと推察されます。

 

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