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柔道整復施術ガイドライン作成にあたって 第4回全体会議

2014/05/16
理学療法士と柔道整復師の違い

荒井氏からの〝臨床現場において、理学療法士と柔道整復師の行なっている治療は違うのか〟という質問に対して〝柔道整復では固定を行なうが、医科においては理学療法の範疇ではない「処置」に含まれるため基本的には行なわない。柔道整復師の後療法と理学療法士の治療は一部異なる部分もあるが、基本的には同じである。マッサージはあるが、マッサージ師の権限を奪わないようにとされている〟との回答があった。つい最近理学療法を受けたという柔道整復師は〝患者に対する運動療法もきめ細かく指導されていた。電療の種類等は柔道整復師のほうが多い。処置も医師に確認してからという場合が多く、柔道整復師のほうが範囲も広いし一人の術者が最後まで診る。良いところも悪いところもあると思う〟と述べ、柔道整復師が行なう施術内容は理学療法士の行なう治療と共通する部分も多々あるが、理学療法士または整形外科医が行なうことのできない面をカバーしている部分もあるようだ。また〝理学療法士の治療は評価を非常に大切にしている。柔道整復師とは評価方法が全く違うので、柔道整復師独自の評価方法をガイドライン化していくべき〟との意見もあった。

 

説明義務等について

本多氏は〝ガイドラインには患者への説明義務やコミュニケーションの取り方についても記載しておきたい。特に重要なのが転院勧告だと思う〟として、どういった場合に転院を勧めるのか尋ねた。〝柔道整復の範囲ではないと思えば、一番適当であろうと思われる医療機関に可及的速やかに転院させる〟〝精神的疾患が疑われる状態で、このまま治療を続けると問題が起きると思われる場合にも転院させる〟など、柔道整復の範囲外であればできる限り早急に判断し転院させる必要があると回答する出席者が多く見られた。また〝病院で検査を受けて何ともないと言われたが、超音波で見ると異常がある場合があった。患者は病院を信じ切っていたが、頼み込んで病院を変えさせた〟というように、一つの医療機関の診断だけではなく、別の医療機関での診察を受けた方がいいと思われたケースもあるとのことだった。

また本多氏は〝医療事故は説明不足により不信感が生まれるために起こる。では、患者には何のために説明するのか?〟と疑問を投げかけた。これに対し多くの出席者が〝納得して治療を受けていただくことを大切にしている〟と答える中、〝いくつかの選択肢を与えてリスク等についても説明したうえで患者に治療法を選ばせることをしないとインフォームドコンセントとしての説明責任は果たせていない〟とする施術者もおり、結果は問わずに選択肢に関し十分に説明を行なった上で患者に治療方法を選択させる必要性があると主張し、〝いいことをしているから良いのだという独りよがりは医療者として絶対にしてはならない。またそれを施術録に記載しなくてはならない。施術録に書かずに説明したといっても通用しない。患者にパンフレット等を渡して、その後にわからないところがあったかどうかまで確認する必要がある。それがなければ説明責任を果たしたとは言えない。説明をしてから熟慮させる時間があったかも重要となる〟と患者が理解できるように説明し、且つその記録もきちんと残しておくことが大切だとした。

 

今回で柔道整復施術ガイドライン作成のための全体会議は終了となり、6月頃までにガイドラインを作成していくとのこと。本多氏は〝柔道整復師は様々な治療方法を使っており、統一化されていないように感じている。業界共通の認識となるものを作り、次の世代に渡していけるようにしたい〟とコメントした。

 

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